最初に見るのは数字ではなく、比較の条件
データ理解では、計算が合っていても分母や対象期間が違えば結論を誤ります。表題、単位、期間、対象者、注記を先に確認し、設問が件数・割合・増減のどれを求めているかを一言で置き換えます。
| 確認するもの | 典型的な取り違え | 読むときのメモ |
|---|---|---|
| 単位 | 千円と万円を同じ桁で比較 | 単位をそろえる |
| 分母 | 申込者と訪問者を混同 | 何人のうち何人か |
| 期間 | 単月と累計を比較 | 月・四半期・通期 |
| 対象 | 全体と既存顧客だけを比較 | 集計範囲を囲む |
表を1行ずつ読む
- 確認するもの
- 単位
- 典型的な取り違え
- 千円と万円を同じ桁で比較
- 読むときのメモ
- 単位をそろえる
- 確認するもの
- 分母
- 典型的な取り違え
- 申込者と訪問者を混同
- 読むときのメモ
- 何人のうち何人か
- 確認するもの
- 期間
- 典型的な取り違え
- 単月と累計を比較
- 読むときのメモ
- 月・四半期・通期
- 確認するもの
- 対象
- 典型的な取り違え
- 全体と既存顧客だけを比較
- 読むときのメモ
- 集計範囲を囲む
必要な値だけ計算し、全セルを埋めないことも大切です。大小関係だけを聞かれたときは概算を使い、近い数値の選択肢を判別するときに精算へ切り替えます。
独自例題:率は改善したのに、全体では低下?
ある研修の完了状況を、経験者と未経験者に分けて集計しました。各期の参加者は重複せず、完了の定義も同じです。表から確実に言えるものを選んでください。
| 層 | 前期:参加/完了 | 今期:参加/完了 |
|---|---|---|
| 経験者 | 80人/72人 | 20人/19人 |
| 未経験者 | 20人/8人 | 80人/40人 |
表を1行ずつ読む
- 層
- 経験者
- 前期:参加/完了
- 80人/72人
- 今期:参加/完了
- 20人/19人
- 層
- 未経験者
- 前期:参加/完了
- 20人/8人
- 今期:参加/完了
- 80人/40人
- A:両方の層で完了率が上がったので、全体の完了率も上がった
- B:全体の完了率は21ポイント下がった
- C:今期の全体の完了率は、95%と50%の単純平均で72.5%である
- D:経験者の完了人数は前期より増えた
解説:率を平均する前に、人数へ戻す
前期:参加者100人
経験者 80人 / 未経験者 20人
完了者:72人 + 8人
全体 80%
今期:参加者100人
経験者 20人 / 未経験者 80人
完了者:19人 + 40人
全体 59%
経験者:90% → 95% / 未経験者:40% → 50%
それでも全体は80% → 59%(21ポイント低下)。
棒の長さは参加者の構成比です。前半が経験者、後半が未経験者。率の低い層の人数が増えたため、単純平均では全体を求められません。
正解はBです。前期の全体は(72+8)÷(80+20)=80%。今期は(19+40)÷(20+80)=59%。差は59−80=−21ポイントです。一方、相対的な減少率は21÷80=26.25%で、21%減とは区別します。
Aは構成比の変化を無視しています。経験者は90%から95%、未経験者は40%から50%へ改善しても、完了率の低い層の比重が増えたため全体は下がります。Cの単純平均は人数が違うため使えません。Dは率と人数の混同で、経験者の完了人数は72人から19人へ減っています。
この表だけで研修の質が悪化したとは言えません。対象者の構成が変わっているからです。観測値の読み取りと、原因の推測を分ける練習にも使えます。
グラフでは軸・系列・欠測を確認する
時間と距離の図を読む場合は、停止時間を含めた平均の速さで累積量と分母の範囲を確認できます。水平部分の意味も、縦軸が距離か速さかで変わります。
複数の系列が100から始まるグラフは、指数と1人当たりの増減を読む例題で練習できます。売上と人数をそれぞれ100にした図では、線の高さが実数の大小を表すわけではありません。
全体の率が変わった理由を施策の効果と解釈する前に、注文構成が仮説を弱める例題で、分母の内訳と因果的な説明を分けてみましょう。
折れ線の傾きだけで増減率を比較しないでください。縦軸が途中から始まる図、左右で単位が違う図、基準年を100とした指数の図では、見た目の差と実額の差が一致しません。空欄もゼロと決めつけず、未集計か対象外かを注記で確認します。
たとえば指数120と110だけでは、どちらの売上額が大きいかは分かりません。基準年の実額が必要です。何が不足していて断定できないのかまで書ければ、読み取りの理解が深まります。
復習は「何を分母にしたか」を残す
『検出された品のうち不良』と『不良のうち検出』は、同じ分子でも分母が違います。条件付き確率の2方向を比べる表で確認しましょう。
平均値が何を表すかで迷う場合は、平均20分・中央値11分の独自例題へ。平均の計算、中央の位置、欠測値の扱いを別々に点検できます。
二つの条件に当てはまる人数を整理する場合は、集合の重なりを四領域に分ける例題で、同じ人を二度数えていないか確かめてください。
間違えた計算式の横に、分子と分母の意味を日本語で書きます。数値の読み取りができたら、論証2の仮説検証へ進みましょう。文章の限定条件を落とす方は文章理解の読み方、計算に時間を使いすぎる方は60分の時間配分も確認してください。
公式情報とこの記事の位置づけ
試験の構成はグロービス公式の受験科目、運用上の確認事項は公式FAQを参照しています(確認日:2026年9月9日)。受験条件は勤務先からの案内を優先してください。
以下の例題・数値・学習手順は当サイトのオリジナルです。公式問題・過去問の転載や再現ではなく、実際の出題・難易度・合格を保証しません。当サイトはグロービスの公式サービスではありません。
よくある質問
割合はいつ単純平均できますか?
同じ定義で重複なく集計した各群の分母が等しければ、単純平均で全体割合を求められます。分母が異なる場合は、該当人数の合計を対象人数の合計で割るのが基本です。率がすべて同じなど、単純平均と偶然一致する場合もありますが、人数の重みを省略できる一般則ではありません。
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