条件が付いたら、選ぶ範囲を先に囲む
条件付き確率では、『どこから選ぶか』を先に決めます。全体から一つ選ぶのか、ある条件を満たした集団だけから選ぶのかで分母が変わるためです。分子の数字が同じでも、違う確率になります。以下は、指定した集団の各品を同じ確率で一つ選ぶ設定です。
たとえば『要確認と表示された品のうち、不良品である割合』なら、分母は要確認の品です。『不良品のうち、要確認と表示される割合』なら、不良品が分母です。どちらも不良と要確認の両方に当たる品を分子にしますが、条件の向きが違います。
記号P(A|B)は『Bという条件の下でA』。Bの確率が正のとき、P(A|B)=P(AかつB)÷P(B)です。縦棒を時間の前後や原因を表す記号と読まないでください。
独自例題:要確認となった品は、何%が不良か
検査ロット1,000個の実際の良否を別の確定検査で確認したところ、不良20個、正常980個だった。判定システムは不良20個のうち18個、正常980個のうち49個に『要確認』と表示した。残りはすべて『要確認なし』である。このロットの要確認品だけから1個を等確率で選ぶとき、不良品である確率として最も近いものを選べ。端数は最後に小数第1位へ丸める。
| 確定検査の良否 | 要確認 | 要確認なし | 合計 |
|---|---|---|---|
| 不良 | 18個 | 2個 | 20個 |
| 正常 | 49個 | 931個 | 980個 |
| 合計 | 67個 | 933個 | 1,000個 |
表を1行ずつ読む
- 確定検査の良否
- 不良
- 要確認
- 18個
- 要確認なし
- 2個
- 合計
- 20個
- 確定検査の良否
- 正常
- 要確認
- 49個
- 要確認なし
- 931個
- 合計
- 980個
- 確定検査の良否
- 合計
- 要確認
- 67個
- 要確認なし
- 933個
- 合計
- 1,000個
- A:約2.0%
- B:約5.0%
- C:約26.9%
- D:約90.0%
解説:18個を割る相手は、20個ではなく67個
正解はCです。選ぶ範囲は要確認の18+49=67個。そのうち不良が18個なので、18÷67×100≒26.9%となります。図では、元の良否の二群から要確認だけを取り出し、新しい分母へ組み直しています。
架空の同一ロット1,000個。上の二つの枠は分類の説明で、面積が元の個数比を表すものではありません。矢印は抽出・集計を表し、因果関係ではありません。
不良20個の中から
要確認18個
18÷20=90%
要確認なし:2個
正常980個の中から
要確認49個
49÷980=5%
要確認なし:931個
↓ 要確認だけを集める
18 + 49 = 67個
棒は要確認67個の内訳:左の単色が不良18個(約26.9%)、右の斜線が正常49個(約73.1%)。
要確認から1個を等確率で選ぶ:
不良の確率は 18 ÷ 67 ≒ 26.9%
18÷20の90%とは分母が違う。
Aの2.0%は20÷1,000で、ロット全体の不良率です。Bの5.0%は49÷980で、正常品が要確認になる割合。Dの90.0%は18÷20で、不良品が要確認になる割合です。どれも計算自体は意味を持ちますが、本問の選ぶ範囲とは異なります。
不良の検出率が90%でも、正常品がもともと多ければ、正常品からの要確認も無視できません。ここでは49個で、不良からの18個より多くなっています。これが、元の集団構成であるベースレートを落とせない理由です。
同時に起きる割合と、条件付きの割合を区別する
| 尋ねたいもの | 分子 / 分母 | このロットの値 |
|---|---|---|
| 全体から選び、不良かつ要確認 | 18 / 1,000 | 1.8% |
| 不良の中で要確認 | 18 / 20 | 90.0% |
| 要確認の中で不良 | 18 / 67 | 約26.9% |
| 要確認なしの中で不良 | 2 / 933 | 約0.21% |
表を1行ずつ読む
- 尋ねたいもの
- 全体から選び、不良かつ要確認
- 分子 / 分母
- 18 / 1,000
- このロットの値
- 1.8%
- 尋ねたいもの
- 不良の中で要確認
- 分子 / 分母
- 18 / 20
- このロットの値
- 90.0%
- 尋ねたいもの
- 要確認の中で不良
- 分子 / 分母
- 18 / 67
- このロットの値
- 約26.9%
- 尋ねたいもの
- 要確認なしの中で不良
- 分子 / 分母
- 2 / 933
- このロットの値
- 約0.21%
『要確認なし』でも不良品は2個残っています。低い割合をゼロと読み替えず、表示と確定した良否を分けます。ただし、この架空の1ロットの割合だけで、実在の検査装置の安全性や今後の全ロットを評価することはできません。
同じ品を二度数えない整理は集合を四領域に分ける例題へつながります。条件を満たす品が0個なら、その集団から選ぶ今回の設定は成立せず、0÷0を0%とは扱いません。
応用:検出の割合が同じでも、元の構成が変わる
別の架空ロット1,000個では、不良100個・正常900個だったとします。不良に要確認を出す割合90%、正常に要確認を出す割合5%が、このロットでもそのまま成り立つと明示的に仮定します。すると要確認は不良90個+正常45個=135個。その中の不良割合は90÷135=約66.7%です。
検出の条件付き割合を固定しても、不良品の元の比率が2%から10%へ変われば、要確認品の中の不良割合は約26.9%から約66.7%へ変わります。『装置側の割合を知れば答えはいつも同じ』ではありません。実際に別のロットで同じ割合が保たれるかは別途検証が必要です。
割合だけから計算するなら、元のロットでは0.9×0.02÷(0.9×0.02+0.05×0.98)となります。これは人数表と同じ26.9%です。まず表で分母を確認し、その後に式へ戻すと、記号だけの取り違えを防げます。
独立は、表が二つの軸を持つだけでは仮定できない
Aを不良、Bを要確認とすると、このロットから等確率で選ぶ場合、P(AかつB)=0.018。一方P(A)P(B)=0.02×0.067=0.00134で、一致しません。したがって、このロットの選択モデルではAとBは独立ではありません。独立性を仮定して割合を掛けると、18個に対応しない値を作ってしまいます。
別の現象の将来的な独立性を、この1ロットから一般化したわけではありません。また独立でないことと、一方が他方を引き起こすことも同じではありません。検査の表示が不良そのものを発生させた、という因果説明にはなりません。
割合の分母を使い分ける基礎はデータ理解、集団構成と因果の違いは補強・反駁の例題で復習できます。代表値と対象範囲の混同は平均・中央値・欠測の例題でも確認しましょう。
復習手順と参照した考え方
- 設問の『〜のうち』に線を引き、選ぶ範囲を言葉で書く
- 四領域と行・列の合計を表で確かめる
- 分子と分母を式の横に書き、丸めは最後に行う
- 誤答の数値が、何を条件とした割合なのか説明する
条件付き確率と分割表の基本は、OpenStax:Introductory Statistics 2e 3.4の定義を参照しています(2026年9月9日確認)。ロット、判定結果、数値、図、選択肢は独自作成で、同教材の例題や図を転載していません。
公式情報と独自教材の位置づけ
グロービスの受験科目案内では、CTのデータ理解は図表から言えることを理解する力を測定すると説明されています(2026年9月9日確認)。本記事のテーマ分けは、その練習用に当サイトが選んだもので、公式の詳細出題範囲や頻度を示すものではありません。
問題・数値・図解は公式問題・過去問の転載や再現ではなく、当サイトのオリジナルです。本番と同じ難易度・採点・得点上昇・合格を保証しません。当サイトはグロービスの公式サービスではありません。
よくある質問
P(A|B)とP(B|A)は同じですか?
一般には異なります。AとBの両方に当たる部分が同じでも、条件にする集団が違うためです。記事の18/20と18/67を比べると確認できます。
検出率90%なら、要確認品の90%が不良ですか?
そうとは限りません。元の不良率と、正常品が要確認になる割合も必要です。独自例では不良18個と正常49個を合わせた67個が分母になり、約26.9%です。
条件を満たす対象が0個なら0%ですか?
その対象だけから1個を選ぶ設定が成立しません。条件の確率が0のとき、今回使う割合の式で0÷0を0%とは計算しません。
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