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全体像・読み進め方を確認する
一つずつなら成り立つことを、まとめた全体にも当てはめていないか。工程の所要時間と部門利益の独自例で、合成の誤謬・分割の誤謬、反例の作り方、推論を修正できる条件を図解します。
この記事を読む3ステップ
最初に全体像をつかみ、必要なところから読めます。
最初に、理由と結論の主語の範囲をそろえる
「各工程は短い。だから全工程も短い」という説明は、一見自然です。しかし、理由で述べたのは個々の工程、結論で述べたのは工程をまとめた仕事です。同じ「短い」という言葉でも、評価する対象の範囲が変わっています。その移動を支える条件があるかを確認します。
合成の誤謬は部分の性質をそのまま全体に、分割の誤謬は全体の性質をそのまま部分に移してしまう推論の誤りです。どちらも、部分と全体を結ぶ推論が必ず誤りという意味ではありません。どの性質が、どんな集め方なら受け継がれるかが論点です。
合成の誤謬:一つずつの条件を満たしても、全体の条件は別
架空の受付業務では、準備に4分、確認に4分かかります。二つは同じ案件について順番に行い、同時には処理しないものとします。どちらの工程も5分以内ですが、準備から確認の完了までには8分かかります。「どの工程も5分以内なので、全業務も5分以内」とは結論できません。
理由の二つの数値が正しくても、結論へのつなぎ方が不適切な場合があります。この反例は、工程に待ち時間がなくても成立します。待ち時間を加えれば長くなる可能性はありますが、誤りを示すために新しい事情を持ち込む必要はありません。
細部は図を左右に動かして確認できます。
図の内容を文章で読む
同じ案件を順番に処理。準備4分と確認4分は各5分以内でも、合計は8分。
| 対象 | かかる時間 | 5分以内か |
|---|---|---|
| 準備だけ | 4分 | はい |
| 確認だけ | 4分 | はい |
| 二つを順番に実施 | 4+4=8分 | いいえ |
表を1行ずつ読む
- 対象
- 準備だけ
- かかる時間
- 4分
- 5分以内か
- はい
- 対象
- 確認だけ
- かかる時間
- 4分
- 5分以内か
- はい
- 対象
- 二つを順番に実施
- かかる時間
- 4+4=8分
- 5分以内か
- いいえ
足せる性質と、そのまま移せない評価を区別する
この例では時間を加算できます。だからこそ、各工程についての「5分以内」という判定を、そのまま合計にも移せないと分かります。工程が短いかという評価と、時間の数値を足し算する規則は別です。「部分から全体だから誤り」と方向だけで判断しないようにしてください。
例えば、順次行う二工程についてそれぞれ2分以内だと分かり、追加の待ち時間がないなら、全体は4分以内だと結論できます。反対に「全体は2分以内」までは言えません。どの上限をどの規則で導くかを書けば、成り立つ推論と飛躍が区別できます。
分割の誤謬:全社が黒字でも、すべての部門が黒字とは限らない
次は全体から部分への移動です。説明用の会社にはA部門とB部門があり、Aの利益は18百万円、Bの利益はマイナス6百万円です。この例では共通費用などの追加調整がなく、全社利益を二部門の利益の和と定義します。全社は12百万円の黒字ですが、B部門は赤字です。
「会社全体が黒字だから、B部門も黒字だ」という説明は、この数値例で崩れます。全社が黒字という理由そのものを否定する必要はありません。全体が黒字でありながら部分が赤字である状況を示せば、理由だけでは結論が決まらないと説明できます。
細部は図を左右に動かして確認できます。
図の内容を文章で読む
共通の利益尺度。A部門は18、B部門はマイナス6、全社は12百万円。全社黒字でもBは赤字。
| 範囲 | 利益(百万円) | 判定 |
|---|---|---|
| A部門 | 18 | 黒字 |
| B部門 | −6 | 赤字 |
| 全社(A+B) | 12 | 黒字 |
表を1行ずつ読む
- 範囲
- A部門
- 利益(百万円)
- 18
- 判定
- 黒字
- 範囲
- B部門
- 利益(百万円)
- −6
- 判定
- 赤字
- 範囲
- 全社(A+B)
- 利益(百万円)
- 12
- 判定
- 黒字
平均値から個々の値を決める誤りとつなげて理解する
全体の平均を知っても、全員がその平均以上だとはいえません。二人の作業時間が2分と8分なら平均は5分ですが、一人は5分を超えています。「平均が5分なので、誰に任せても5分以内」は、平均という全体の要約を各人への保証に置き換えています。
ただし、合計や平均の話がすべて分割の誤謬になるわけではありません。平均に加えて個々の値の範囲が分かるなら、そこから言える結論も増えます。論証の分類名を付けるより、与えられた情報と、結論で新たに保証している情報の差を書き出すことが大切です。
「全員」と「集団全体」を同じ表現として扱わない
「全員が経験者」と「経験豊富なチーム」は、必ずしも同じ意味ではありません。前者は各人の属性を述べ、後者は集団としての活動や成果を評価している場合があります。実際にどの経験を何で確認したかが示されていなければ、片方からもう片方へ自動的に言い換えないでください。
また「全員が同じ日に参加できる」と「各人に参加できる日がある」も違います。こちらは主として条件や量化の範囲の問題です。部分と全体の性質の移動なのか、日時などの条件の並べ方なのかを見分けると、似た表現をまとめて一つの誤りにしてしまうことを防げます。
反例を作る手順:前提を残したまま結論だけを崩す
反例は、相手の説明を無関係な条件で否定することではありません。工程の例なら「各工程が5分以内」という前提を守ったまま、全体が5分を超える値を置きます。利益の例なら「全社が黒字」という前提を守ったまま、一部門だけが赤字になる値を置きます。
- 理由と結論の対象を、それぞれ「各部分」「まとめた全体」に分けて書く。
- 時間、利益、人数など、使っている性質と集計規則を確認する。
- 理由が真のまま、結論が偽になる小さな例を一つ作る。
- 例が作れたら「理由だけでは結論は保証されない」と説明する。
反例で分かるのは、提示された理由から必ず結論が出るわけではないということです。その結論が現実に必ず偽だと証明したことにはなりません。たまたま全工程が5分以内で終わる別の設計があっても、元の推論の飛躍は残ります。
結論を直すなら、関係を示す条件を追加する
工程の説明を修正するなら、「各工程は4分、順次二工程なので、待ち時間を除く合計は8分」と書きます。全社利益の説明なら「全社は12百万円の黒字だが、部門別には18とマイナス6で差がある」と、範囲を分けて述べます。どちらも、元の数値を隠さずに推論を直せます。
全社が黒字で、各部門も黒字だと言いたいなら、各部門の実績を確認するなど、追加の情報が必要です。全社の値を何度強調しても、部門別の情報が増えたことにはなりません。結論を弱めるか、不足する根拠を足すかを選ぶのが、論証を改善する基本です。
CTの学習では、誤謬の名前より論証のつなぎ目を見る
実際の文章では「合成」「分割」という名前が出なくても、主語が各人から組織へ、工程から業務全体へ移ることがあります。まず理由と結論を分け、性質がそのまま引き継がれる条件が示されているかを読みます。この一手順なら、分類名を思い出せなくても飛躍を説明できます。
この記事の例は論証を読むために独自に作成したものです。GMAP-CTでの出題や頻度を示すものではありません。論理の基礎を確認した後は、CTの無料問題で、本文の条件から判断する練習につなげてください。
次の学習と確認資料
循環論法・偽の二分法などの誤謬 / 理由と結論の構造 / 平均と中央値の違い
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この記事の図・数値・ケースは編集部独自の学習用です。公式問題や過去問の再現ではなく、出題頻度や合格を保証しません。当サイトは非公式の対策サービスです。
確認資料:Internet Encyclopedia of Philosophy:Composition/Division(2026年10月21日確認)。図解と練習例は当編集部が別途作成しています。
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