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在庫評価は、購入原価を二つの行き先へ配る
仕入れた商品がすべて売れたとは限りません。売れた分の原価は売上原価として損益計算へ、残った分は期末在庫として資産へ配分します。単価の異なる購入が混ざると、どの単価を売れた分に対応させるかによって、同じ売上でも当期の利益が変わります。現金の支払額が自動的に変わるわけではありません。
本ページは購入原価の配分を学ぶケースです。全部原価計算と直接原価計算が扱う固定製造費の範囲とは別の問題です。税務・会計基準上の採用可否をすべて解説するページではなく、与えられた方法の計算と整合を確認する入口として使ってください。
独自ケース:100円の商品と140円の商品を各100個購入
期首在庫なし。同じ商品を最初に100個×100円、次に100個×140円で購入し、その後120個を200円で販売したとします。返品・値引き・減耗・評価損・税金はなく、当期末に80個残ります。購入原価は24,000円、売上は24,000円です。方法が違ってもこの総額と数量は変わりません。
青:売上原価 12,800円/緑:在庫 11,200円
青:売上原価 14,400円/緑:在庫 9,600円
棒全体は同じ24,000円。売れた数量120個と在庫80個も同じです。原価の配分だけが異なる独自例。
先入先出法では先に買った原価から売上原価へ配ります。100個×100円と20個×140円で売上原価12,800円、残る80個×140円で在庫11,200円。粗利益は24,000−12,800=11,200円です。先入先出は原価配分の仮定であり、実際に倉庫からどの箱を出したかを常に表しているとは限りません。
総平均法は、期間全体の原価と数量から平均単価を求める
総平均単価は24,000円÷200個=120円です。販売120個の原価は14,400円、在庫80個は9,600円、粗利益は9,600円になります。100円と140円の単純平均がたまたま120円になるのは購入数量が同じだからです。数量が違う場合は原価総額÷数量総額へ戻してください。
| 方法 | 売上原価 | 期末在庫 | 粗利益 |
|---|---|---|---|
| 先入先出法 | 12,800円 | 11,200円 | 11,200円 |
| 総平均法 | 14,400円 | 9,600円 | 9,600円 |
- 数量:購入200個=販売120個+在庫80個原価配分の方法を変えても数量は同じ
- 先入先出:12,800円+11,200円=24,000円売上原価+在庫が購入原価へ戻る
- 総平均:14,400円+9,600円=24,000円原価が1,600円多い分、在庫は1,600円少ない
税金・返品・減耗・評価損なし。単純な原価配分の検算図で、会計基準の採用判断ではありません。
両方法とも売上原価+期末在庫=24,000円です。売上原価を1,600円少なく配分した方法では、その分が在庫へ多く残り、当期の粗利益も1,600円大きくなります。商品が増えたわけではなく、原価がどちらに配分されたかの違いです。
総平均と移動平均は、途中の販売があると異なり得る
別ケースとして、100個×100円を買い、80個売り、次に100個×140円を買い、その後40個売る順序を考えます。移動平均法では新たな仕入れのたびに、残る数量と購入原価で平均を更新します。最初の80個の原価は8,000円。残る20個2,000円と新規100個14,000円を合わせ、平均単価は16,000÷120=約133.33円です。
次の40個の原価は約5,333.33円、合計売上原価は約13,333.33円、在庫は約10,666.67円です。期間全体の総平均法なら120円のため、結果が異なります。丸めのルールにより端数処理は変わりますが、総額24,000円への整合が必要です。最初のケースのように両仕入れ後にだけ販売した場合は、移動平均も120円になります。
利益の違いを、現金増加や優れた経営と同一視しない
最初のケースでは購入代金と販売代金が同じで、方法を変えても商品の現金取引は同じです。粗利益が大きいことだけで、より多く現金を稼いだ、商品の価値が上がった、と結論づけることはできません。仕入単価が上昇した今回の前提と、下落した場合の前提も分けます。
単価下落なら利益の差の向きが変わる場合があります。在庫の評価損や数量差異が与えられたら、単なる購入原価の配分に加えて別の処理が必要です。制度上の判断へ応用するときは、企業の採用方法・注記と適用基準を確認してください。ここでは投資判断や会計方針の変更を推奨していません。
復習では、数量と金額を別々に検算する
数量は200個=販売120個+在庫80個、金額は24,000円=売上原価+在庫へ戻します。次に粗利益=売上−売上原価を確認します。この二重の検算をすると、売上の単価200円を在庫評価へ使う誤りや、残った数量へ平均単価を掛け忘れる誤りを見つけやすくなります。
原価の計算結果を財務三表の役割、利益と現金の違いを黒字でも現金が減るケースへつなげてください。方法の名前を覚えるだけではなく、どの原価が売れた分へ移り、どの原価が残ったかを説明する練習にします。
売上総利益が違っても、入出金が変わるとは限らない
この例で購入分を全額払い、販売分を全額回収したとすると、支出24,000円、収入24,000円で、差し引きはどちらの方法でも0円です。それでも売上総利益は先入先出法11,200円、総平均法9,600円となります。支出のうち、未販売の80個へ配分された原価がまだ資産に残り、全額が売上原価になっていないからです。
この0円は、税金・他の経費・売掛金・買掛金を除いた、この売買だけの入出金差です。企業全体の営業キャッシュフローを意味しません。「利益の違い」を「現金の違い」と読み替えない確認は、財務三表をつなぐ復習にも有効です。
仕入価格が下がるケースで、大小関係を検算する
同じ数量で、先に100個を140円、次に100個を100円で仕入れたとします。先入先出法の売上原価は100×140+20×100=16,000円、在庫は80×100=8,000円です。総平均法は単価120円なので、売上原価14,400円、在庫9,600円のままです。値上がり時と、売上原価・在庫の大小関係が逆になります。
「先入先出法なら利益が必ず大きい」と覚えると、この例で誤ります。先に買った原価を売れた分へ回すという仕組みから考え、価格の方向は後で反映します。いずれも売上原価と在庫を足すと24,000円に戻るため、計算ミスの検出にも使えます。
確認課題として、値下がりのケースでも売上24,000円は同じと置き、売上総利益を求めてください。先入先出法8,000円、総平均法9,600円になります。売上原価と在庫の検算に加え、売上−売上原価をもう一度計算することで、「残った原価」を誤って利益に直接加えていないか確かめられます。
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この記事の図・数値・ケースは編集部独自の学習用です。公式問題や過去問の再現ではなく、出題頻度や合格を保証しません。当サイトは非公式の対策サービスです。
考え方の確認資料:OpenStax:期間全体の在庫原価配分(2026年10月11日確認)。数表・図・事例は当編集部が独自に作成しました。参考資料の例題・図の転載ではありません。
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