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一回に何個買うかと、いつ買うかは別の判断
経済的発注量EOQは、発注一回あたりの固定費用と、在庫を持つ費用の合計を小さくする発注量を求める基本モデルです。発注量は一回に何個買うか、発注点はどの在庫水準で発注するか。二つの言葉を混同すると、200個買うという答えを残量200個で買うという指示へ変えてしまいます。
この記事は在庫原価の評価とは異なり、仕入れ後の利益計算ではなく発注量の比較を扱います。一定需要・欠品なしなどの単純な独自モデルで、現実の在庫水準を推奨するものではありません。公式の詳細な出題範囲を保証する説明でもありません。
独自ケース:年間需要1,200個、発注一回1,500円
年間需要D=1,200個、発注一回の固定費用S=1,500円、一個を一年保管する費用H=100円とします。需要は一定で、一回Q個を入荷させた後、次の入荷まで在庫が直線的に減ります。欠品を起こさず、一度に全量が入荷し、数量割引はない設定です。
この繰り返しの平均在庫はQ/2、年あたり発注頻度はD/Qなので、対象費用はC(Q)=S×D/Q+H×Q/2です。D/Qは長期的な年換算頻度であり、任意のQについて一暦年に小数回の発注を実行できるという意味ではありません。期首・期末や端数処理を指定する別問題では、その条件を追加します。
100・200・300個で、増える費用と減る費用を比べる
| 一回の発注量Q | 年換算発注費用 | 年換算保管費用 | 対象費用の合計 |
|---|---|---|---|
| 100個 | 18,000円 | 5,000円 | 23,000円 |
| 200個 | 9,000円 | 10,000円 | 19,000円 |
| 300個 | 6,000円 | 15,000円 | 21,000円 |
- 下の緑:発注回数を減らす効果Qが大きいと発注費用は下がる
- 上のオレンジ:平均在庫を増やす効果Qが大きいと保管費用は上がる
一定需要の独自モデル。商品購入費は含めない年換算の発注・保管費用。積み上げは0円からの同じ尺度です。
Qを100から200へ増やすと、発注費用は9,000円減り、保管費用は5,000円増え、合計は4,000円減ります。200から300へ増やすと発注費用は3,000円減るだけで保管費用が5,000円増え、合計は2,000円増加。まとめ買いを大きくするほど常に有利ではありません。
商品の年間購入費用が単価×Dで一定なら、この比較ではどのQでも同額なので外せます。ただし「合計19,000円」を商品の購入費を含めた年間総支出とは呼びません。数量割引で単価が変わるなら、購入費も比較へ戻す必要があります。
平方根の公式を、両側の費用から確かめる
正のQを連続量として選べる基本モデルでは、Q*=√(2DS/H)。今回なら√(2×1,200×1,500÷100)=√36,000=約189.737個です。この点で年換算発注費用と年換算保管費用はそれぞれ約9,486.833円、合計約18,973.666円となります。
費用が等しいことはこのモデルの最適点の性質で、あらゆる在庫問題で使える判断ではありません。整数にするなら候補の前後を比較し、発注単位が50個なら150・200・250など許される量で費用を計算します。端数を切り捨てるだけで現実の制約を処理したことにはしません。
需要が4倍なら、発注量は4倍でなく2倍
ほかの条件を固定してDを4,800へ増やすと、EOQは√144,000=約379.473個で、元の2倍です。発注固定費Sが4倍でも同じく2倍。保管費Hが4倍ならEOQは半分の約94.868個です。平方根の式なので、入力の倍率がそのまま発注量の倍率にはなりません。
単位も確認します。Dが個/年、Sが円/回、Hが円/(個・年)なら、計算結果は一回あたりの個数として整合します。月間需要と年間保管費を、そのまま同じ式に混ぜないでください。需要と保管費の時間単位をそろえてから計算するのが先です。
発注点は、入荷を待つ間の需要へ目を向ける
年300稼働日、需要は一日4個、発注から入荷まで5稼働日とします。需要と納期が確定し、安全在庫を置かないなら発注点は4×5=20個です。ここで発注量を200個とするなら、在庫ポジションが20個に達したときに200個を発注します。量とタイミングを二行に分けます。
- 一回の発注量:200個一定需要4個/稼働日なら、50稼働日分
- 発注点:在庫ポジション20個4個/日×納期5稼働日。手元+未入荷−未充足で判定
- 入荷までの需要:20個需要・納期確定、安全在庫なしの定常モデル
発注量200個と発注点20個は別の数字。不確実な需要や納期に対する安全在庫は、この例には含めません。
在庫ポジションは手元在庫+発注済み未入荷−未充足の需要です。未入荷の発注がある場合、手元残量だけで同じ注文を何度も出さないようにします。この例では定常的な繰り返しを想定し、納期より発注間隔が長いため通常は注文が重なりません。需要や納期が不確実なら、安全在庫には別の条件が必要です。
モデルから外れる条件を、計算前に拾う
最低発注量、倉庫の容量、消費期限、数量割引、需要の季節変動、分割納入、欠品を許す条件があれば、基本式だけで最終判断はできません。たとえば最低300個という制約なら約190個は選べず、この費用モデルの300個以上の範囲では300個が最小になります。
許される候補が100・200・300の三つだけなら200個を選びますが、それは離散的な候補比較の結果です。EOQの約189.737と同じ数ではありません。代金の支払条件や資金拘束も別の判断軸なので、キャッシュ・コンバージョン・サイクルと併せて確認します。
保管費を月単位で示されたときの換算
一個あたりの保管費を月10円、需要を年1,200個とする別ケースでは、年の保管費Hは120円へ換算します。ほかは同じならEOQは√(2×1,200×1,500÷120)=√30,000=約173.205個です。需要だけを年のまま残し、Hに10を入れると約600個となり、期間単位を取り違えた答えになります。
月でそろえるならDを100個/月、Hを10円/(個・月)としても同じ約173.205個へ戻ります。年と月の二通りで結果が一致するかは強い検算です。保管費が在庫金額の率で与えられる場合は、率だけでなく一個の価額も使って一個一期間の金額へ直す必要があります。
復習:費用表を作ってから式を使う
最初に需要の期間、一回の費用、一個一期間の保管費、入荷と欠品の前提を書きます。次に三つのQでD/QとQ/2を計算し、対象費用を並べてください。公式を使った後も、周辺の候補で費用が小さくなるかを検算すると、分子・分母の入れ違いに気づけます。
50個単位の今回のモデルなら、150個は19,500円、200個は19,000円、250個は19,700円です。最終メモでは「このモデル・許された発注単位なら200個」「発注点は別に20個」と分けます。需要が予測と違った場合も固定量が最適とは限らないため、計算の条件と適用できない条件を並べて記録してください。
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この記事の図・数値・ケースは編集部独自の学習用です。公式問題や過去問の再現ではなく、出題頻度や合格を保証しません。当サイトは非公式の対策サービスです。
確認資料:MIT OpenCourseWare:一定需要の在庫モデル(2026年10月11日確認)。図解と練習例は当編集部が別途作成しています。
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