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資本制約があると、案件単体と組合せは別の問題になる
資本制約とは、投資に使える資金が限られ、正のNPVを持つ案件すべてを実行できない状態です。NPVが正かを調べる作業に加えて、予算内でどの組合せを選ぶとNPVの合計が大きくなるかを比べます。
既存のNPVとIRRの比較は規模の違う案件の率と金額を扱います。このページは、三案件から同時に採用できる組合せを選ぶ問いに絞ります。数値は独自の学習例で、GMAP-BFでこの指標が必須という主張や、実際の投資の推奨ではありません。
独自ケース:支出は今、回収は一年後
単位は百万円。時点0に一度だけ支払い、一年後に一度だけ回収するとします。各案件のリスクに同じ年10%の割引率が適切で、追加支出・相乗効果・採用による他案件への影響はないと仮定します。各案件は一回限り、部分実行はできません。
| 案件 | 今の支出 | 一年後の回収 | 回収の現在価値 | NPV |
|---|---|---|---|---|
| A | 6 | 9.9 | 9 | 3 |
| B | 5 | 7.7 | 7 | 2 |
| C | 5 | 7.7 | 7 | 2 |
Aの回収の現在価値は9.9÷1.1=9、NPVは9−6=3です。B・Cは7.7÷1.1=7、NPVは7−5=2。表の回収額は元の将来額、現在価値は割り引いた額なので、二つを重ねて足しません。使える当初予算は10です。
PIは、投資一単位あたりの現在価値を比べる
本記事の収益性指数PIは、将来の流入の現在価値÷初期投資です。Aは9÷6=1.5、B・Cは7÷5=1.4です。この定義ではPI=1+NPV÷初期投資なので、PIが1を超えることとNPVが正であることが対応します。
資料によってはNPV÷初期投資を別の収益性指標として示す場合もあります。その場合の値はAが0.5、B・Cが0.4です。名称だけを見て基準を混ぜず、分子に初期投資控除前の現在価値を置くか、控除後のNPVを置くかを確認します。ここでは一つの定義で最後まで比較します。
PI順に選ぶと、予算が余っても価値を取り逃す
細部は図を左右に動かして確認できます。
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予算10百万円。Aのみは6を使用し4が未使用、NPV3。BとCは5ずつ使用してNPV4。
百万円単位。案件は分割不可で、未使用予算には追加NPVを置かない独自モデル。
PIが最も高いAを選ぶと、支出6、NPV3、予算残4です。残りではBもCも買えません。一方、BとCを選べば支出5+5=10、NPV2+2=4。AのPIが高くても、分割できない案件の組合せではB+Cの方が合計NPVは大きくなります。
使い残しがあること自体が悪いわけではありません。価値を増やさない案件へ無理に支出する必要はなく、この例では未使用予算に追加のNPVを仮定していません。重要なのは予算消化率ではなく、同じ前提で比較した合計NPVです。
三案件なら、全八通りを列挙できる
細部は図を左右に動かして確認できます。
図の内容を文章で読む
当初支出を横軸、合計NPVを縦軸。予算10以内の最大はBとCでNPV4。支出11のNPV5と支出16のNPV7は予算超過。
BとC、A+BとA+Cはそれぞれ同じ座標で重なります。全八通りは本文の表に掲載。
| 採用する案件 | 当初支出 | 合計NPV | 予算10以内か |
|---|---|---|---|
| なし | 0 | 0 | はい |
| A | 6 | 3 | はい |
| B | 5 | 2 | はい |
| C | 5 | 2 | はい |
| A+B | 11 | 5 | いいえ |
| A+C | 11 | 5 | いいえ |
| B+C | 10 | 4 | はい |
| A+B+C | 16 | 7 | いいえ |
各案件を採る・採らないの二択なので2の三乗=8通りです。まず予算を超える組合せを除き、その中で合計NPVを比較します。A+Bの5は魅力的に見えても、支出11が予算10を超えるため、この条件では選べません。
案件が増えれば全列挙は急に大きくなります。その場合も、予算・依存関係・分割可否を式にした最適化が必要です。PIの順位表を作っただけで組合せの最適性を証明したことにはなりません。
分割できる案件なら、結論が変わる
仮にA・B・Cを任意の割合で実行でき、支出と回収もその割合に完全比例するとします。Aを全部実行し、残り4でBの80%を採れば、支出6+4=10、NPV3+2×0.8=4.6です。分割不可のB+Cの4を上回ります。
この変更例は、資本制約が一時点だけ、案件間の影響なし、価値も支出も比例という強い条件を置いています。設備を80%だけ買えない、一定額の準備費がある、部分実行では売上を得られない場合へ、この計算を適用しないでください。
予算を変えたら、率を計算し直す前に候補を見直す
予算が11なら、A+BまたはA+Cが実行でき、合計NPVは5になります。予算16なら三案件すべてを採用して7です。予算だけの変更で各案件の回収や割引率が変わらないなら、AのPI1.5、B・Cの1.4は同じままでも、最善の組合せは変わります。
BとCが相互排他的、またはBを実行するにはAが必要といった条件が加われば、元の八通りの実行可能性も変わります。金額を足す前に、同時採用できる関係かを確認してください。
同時採用の条件を一つ足すと、候補が消える
元の予算10へ戻し、BとCが同じ設備の代替案で、一方しか実行できないとします。B+Cは支出上限を満たしていても、同時採用の条件を満たしません。A+BとA+Cは予算超過なので、実行可能な案の中ではAのみのNPV3が最大になります。
今度はBを採用するためにAが必要という条件だけを加え、BとCの相互排他は置かないとします。BのみとB+Cは前提のAを欠くため選べません。A+Bは必要な前提を満たしますが予算11が必要です。この場合も予算10ではAのみが最大です。
どちらの変更でも、各案件のPIを再計算したのではありません。採用可能な組合せが変わったため結論が変わりました。計算表へ「予算以内」「前提案件あり」「同時採用可能」の列を分けて書くと、金額だけで落としていた条件が見つけやすくなります。
キャッシュフローの条件を増やしたら、モデルも更新する
追加支出が二年後にもあるなら、時点0の予算だけでは実行可能性を判断できません。年度ごとの資金制約を確かめ、将来支出も現在価値に含めます。案件を組み合わせると回収が増減する場合も、単独NPVの足し算だけでは評価できません。
割引率や回収見込みが変わるなら、感度分析で結論がどこまで変わるかを確認します。予算上限を増やすための追加調達が、同じ条件で可能とは限りません。与件が変わったら、古いPIの順位だけを残さないようにします。
復習では、定義・制約・候補・合計の四点を書く
PIの分子と分母、予算の時点、案件の分割可否、同時採用の関係を先に書きます。その後、実行可能な候補の支出とNPVを同じ表で比較します。今回なら「AのPIが最高」と「B+Cの合計NPVが最大」は両立します。何を最大化する問いなのかを落とさないことが大切です。
BFの学習全体はGMAP対策の始め方から確認できます。式の暗記で止まる場合は、予算を10から11へ変えたとき、または分割可能へ変えたときに、どの候補が変わるかを自分で説明してみてください。
次の学習と確認資料
NPVとIRR / 現在価値の基本 / 感度分析 / BF勉強法
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この記事の図・数値・ケースは編集部独自の学習用です。公式問題や過去問の再現ではなく、出題頻度や合格を保証しません。当サイトは非公式の対策サービスです。
確認資料:Touro University:収益性指数(2026年10月21日確認)。図解と練習例は当編集部が別途作成しています。
確認資料:Touro University:資本制約下の案件選択(2026年10月21日確認)。図解と練習例は当編集部が別途作成しています。
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