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GMAP-BF UNIT DICTIONARY単元辞典

現在価値・NPV・IRR|式だけでなく判断の前提を読む

同じ利回りでも、増える価値は同じとは限りません。金額・率・時点を分け、どの条件なら判断できるかを確認しましょう。

要点 → 比較 → 3問最終更新 2026/10/11
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今日の学習ゴール

用語を覚えるだけでなく、成立する条件を説明できるようにしましょう。

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まず結論

NPV・IRRとは?

現在価値はCFを同じ時点へ換算する金額、NPVは全CFの現在価値の合計、IRRはNPVをゼロにする率です。CFの時点・符号・対応する割引率を確認し、NPVゼロを『実際の損失がない保証』と混同しません。

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現在価値は、金額を同じ時点へそろえる計算

現在価値(PV)は、将来のキャッシュフローを指定した割引率で評価時点の金額へ換算したものです。このページはGMAP-BFのファイナンスを学ぶ独自教材で、公式問題の再現や個別案件への投資助言ではありません。

n年後のCFの現在価値=CF÷(1+r)<sup>n</sup>
rは1年当たりの割引率、nは現在からの年数。金額・率・期間の単位をそろえます。

正の金額・正の割引率なら、将来の同額のCFほど現在価値は小さくなります。r=0なら同額です。「未来のお金は必ず小さい」と条件を落とさず、割引率やCFの符号を確認してください。

年10%で、1年後110万円は100万円、2年後121万円も100万円。2年後の121万円を1.1で一度だけ割る110万円は、現在ではなく1年後の時点の価値です。利率が年率なのに月数をそのまま指数へ入れる誤りにも注意します。

割引率は対象CFのリスクや帰属に対応させます。WACCの計算と適用条件を確認し、会社全体の率を異なるリスクの案件へ無条件に当てはめないでください。

NPVがゼロでも、実際の損失がないとは保証しない

NPV(正味現在価値)は、支出を負、収入を正として、全時点のCFの現在価値を合計した金額です。初期投資だけが支出なら「将来CFの現在価値合計−初期投資額」と表せます。後年の撤去費用などもあれば省きません。

独自例の時点予測CF(万円)年10%での現在価値
現在−120−120
1年末+66+60
2年末+72.6+60
合計単純合計は18.6NPV=0

この予測と割引率の下では、要求収益率をちょうど満たす評価です。NPVゼロは、会計利益ゼロ、入出金の単純合計ゼロ、将来損失ゼロのどれとも同じではありません。実際のCFが予測を下回れば結果も変わります。

NPVモデル上の読み方残る判断
正要求収益率を上回る価値の増分を見込む予測の妥当性・実行可能性・資金や資源の制約
ゼロ要求収益率をちょうど満たす評価将来結果の保証ではなく、他の条件も確認
負要求収益率を満たさない評価未反映の効果・費用や前提の誤りを再確認

たとえば上の案件に3年末13.31万円の撤去支出が追加されるなら、その現在価値は−10万円、NPVも−10万円へ変わります。『回収できた年まで』で計算を打ち切らないことが重要です。単年度の利益との違いはEVAと資本コストでも確認できます。

IRRはNPVをゼロにする率であり、常に一つとは限らない

IRR(内部収益率)は、与えたCF列のNPVをゼロにする割引率です。初めに支出があり、その後は非負の回収CFだけという通常型の案件では、対応する要求収益率との比較が使いやすくなります。借入型のCFや、途中・最後に再び大きな支出がある案件へ同じ判定を機械的に使わないでください。

独自の反例として、現在−100万円、1年末+230万円、2年末−132万円のCFを考えます。10%では−100+230÷1.1−132÷1.1²=0。20%でも−100+230÷1.2−132÷1.2²=0です。正のIRRが2つあります。

独自のCF反例同じCFでもNPVがゼロになる率は2つある

現在−100、1年末+230、2年末−132万円。横軸は割引率、縦軸は現在のNPV。実際の運用成績ではなく、同じCF列で割引率だけを変えた計算です。

NPV(万円) -2-10 0102030 割引率(%)

ゼロとの交点:10%と20%
15%で約+0.19万円、0%で−2万円

折れ線は0〜30%を0.5ポイント刻みで算出。解を平均した15%はIRRではありません。採否は対象リスクに対応する割引率で全CFを確認します。

r=15%のNPVは約+0.19万円、r=0%では−2万円です。このCFでは、割引率が高くなるほどNPVが一方向に下がるわけではありません。どちらかのIRRだけを選んで『基準より高いから採用』とせず、対象リスクに合う割引率で全CFのNPVを評価します。

複数IRRが生じる可能性と、必ず複数になることは別です。IRRが存在しないCF列もあります。計算ソフトが返した一つの値を、そのまま唯一解と考えないでください。

規模が違う案件では、IRRの順位とNPVの順位が逆転する

同じリスク・同じ1年の案件で、資金制約がなく、AかBの片方だけを選べるとします。未使用資金の追加NPVはゼロと仮定します。

独自案件現在の支出1年後の収入IRR年10%でのNPV
A100万円130万円30%約18.18万円
B500万円600万円20%約45.45万円

IRRはAが高く、価値の増分であるNPVはBが大きくなります。この条件でNPV最大化を目的とするならBです。資金が100万円しかない、複数回実施できる、案件の期間やリスクが違う、と条件が変われば比較の設計も変えます。

率の高さだけで増える金額は決まりません。投資額、実施可能性、選べる組合せを先に固定する練習です。単なる『NPVの方がいつもよい』という暗記ではなく、何を最大化する比較かを説明してください。

回収期間とフリーキャッシュフローの意味を分ける

単純回収期間法は初期投資の回収までの年数を見る方法で、時間価値と回収後のCFを評価に反映しません。割引回収期間法なら時間価値は反映しますが、回収後のCFを見ない限界は残ります。前者の欠点をそのまま後者へ当てはめないでください。

企業全体向けのFCFFを単純化して計算する例では、FCFF=EBIT×(1−税率)+減価償却費−設備投資−事業運転資本の増加額。事業運転資本の範囲や非現金項目の調整は、与件に従います。

独自例:EBIT100、税率30%、減価償却費20、設備投資50、事業運転資本の増加10(万円)なら、70+20−50−10=30万円。増加10ではなく減少10なら、70+20−50−(−10)=50万円です。

減価償却費を戻すのは、その期間の費用に含まれる非現金項目を調整するためで、設備購入の現金支出までなくなるわけではありません。FCFFは『誰の制約もなく好きに使える預金残高』ではなく、投資支出等を反映して資金提供者全体へ帰属するCFの概念です。

DCF・FCFFとFCFEの使い分けでは、そのCFにどの割引率を掛け、どの価値を求めるかまでつなげます。

出典と確認問題の使い方

概念の参照:OpenStax:NPV、OpenStax:IRR、CFA Institute:FCFFとFCFE。2026年9月9日確認。表・グラフ・数値・問題は当サイト独自です。

確認問題は本文で扱った条件に近い復習用で、初見の診断や習得保証ではありません。解説を閉じて時点と符号を説明し、別の数値でも計算できるか確かめてください。

図解とケースで、理解を一段深める

IRRが高い案とNPVが大きい案は一致しないことがあります。1年後に回収する二つの独自投資案で、率・金額・予算制約を区別します。 NPVとIRRで判断が分かれる理由で具体的に確認できます。

このテーマを、図と独自ケースで深める

回収期間とNPVでは、前提・具体例・判断できる範囲を順に確認できます。

年金現価の時点では、前提・具体例・判断できる範囲を順に確認できます。

現在価値を金融商品の受取額へ当てはめる例として、残存2年の債券価格があります。クーポンと元本をそれぞれの時点へ置いて検算します。

物価変化を含む受取額は、割引率との整合も確かめます。名目5%・物価2%の実質金利では、名目と実質の二通りで同じ現在価値へ戻します。

よくある質問

NPVがゼロなら、投資しても損をしませんか?

予測CFと割引率の下で要求収益率をちょうど満たす評価ですが、実際の損失がない保証ではありません。会計利益や入出金の単純合計とも区別します。

IRRは必ず一つに決まりますか?

いいえ。途中や最後に再び支出があるCFでは複数のIRRが生じることがあり、IRRが存在しない場合もあります。本文の−100、+230、−132万円の例では10%と20%の2つです。

回収期間法は時間価値を無視しますか?

単純回収期間法は無視しますが、割引回収期間法は反映します。どちらも回収後のCFを評価しない限り、その価値を捉えられない点に注意します。

振り返り図解

最後に、図で全体像を振り返ります

NPVとIRRの単位を区別します。予測に基づく評価を、実際の利益や損失がない保証へ置き換えません。

図を指しながら解説する女性講師
REVIEW GUIDE

まず時点と符号をそろえ、判断できる範囲を確認する

金額・率・条件の区別|図の後に本文へ戻れます

  • PV・NPVは金額支出を負として全時点のCFを現在へ割り引く。後年の撤去費も落とさない。
  • IRRは率NPVをゼロにする率。CFによって複数解や解なしもあり、単純な大小判定を強制しない。
  • 判断には前提が必要対象のリスク・CFの帰属・資源制約・実行可能性を確認。予測は実績の保証ではない。

この単元、いま何問解けますか

登録なしで、その場で解けます。読んで分かったつもりでも、4択になると迷うのがこの単元です。

  1. 第1問/全3問 現在150万円を支出し、1年末88万円、2年末96.8万円を受け取る予測がある。他のCFはなく、年10%がこの案件に対応する割引率とする。NPVの計算と、その意味として適切なものはどれか。

  2. 第2問/全3問 【複合判断】CFは現在−100万円、1年末+230万円、2年末−132万円で、以後はない。次の判断の適否を選べ。 【判断Ⅰ】10%と20%の両方がこのCFのIRRである。 【判断Ⅱ】その平均の15%もIRRであり、NPVはゼロになる。

  3. 第3問/全3問 同じリスクで期間1年の案件Aは現在100万円を支出し1年後130万円を回収、案件Bは現在500万円を支出し1年後600万円を回収する。片方だけ実施でき、必要資金は確保済み。未使用資金の追加NPVはゼロとし、割引率10%でNPV最大化を目的に投資を選択する。適切な判断はどれか。

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