最終更新:2026/08/27
出発点:お金には時間価値がある
「今日の100万円」と「1年後の100万円」は、同じ100万円でも価値が違います。今受け取れば運用できるからです。
この差を計算するのが現在価値(PV:Present Value)です。
現在価値 = 将来価値 ÷ (1 + r)^n (r:割引率、n:年数)
割引率10%なら、1年後の100万円の現在価値は 100 ÷ 1.1 = 約91万円。2年後なら 100 ÷ 1.1² = 約83万円です。
割引率とは何か
その投資のリスクに応じた期待利回りです。リスクが高い投資ほど高い割引率を使い、その結果、現在価値は小さくなります。
NPV:投資して結局いくら増えるか
NPV(正味現在価値)= 将来キャッシュフローの現在価値の合計 − 初期投資額
判断は単純です。
| NPV | 意味 | 判断 |
|---|---|---|
| プラス | 資本コストを上回って価値が増える | 投資する |
| ゼロ | 資本コストをちょうど賄えている | 損はしていない |
| マイナス | 資本コストを賄えない | 投資しない |
頻出のひっかけ/NPVがゼロを「損」と判断させる選択肢が出ます。ゼロは最低限の期待利回りを確保できている状態であって、赤字ではありません。
計算の4ステップ
- 各年のキャッシュフローを見積もる
- リスクに応じた割引率を決める
- 各年のCFを現在価値に直して合計する
- 初期投資額を引く
IRR:利回りで示す
IRR(内部収益率)は、NPVがちょうどゼロになる割引率です。その投資が実質何%の利回りを生むかを示します。
| NPV | IRR | |
|---|---|---|
| 単位 | 金額 | 利回り(%) |
| 判断基準 | プラスなら投資 | 資本コスト(WACC)を上回れば投資 |
| 直感的な分かりやすさ | 規模が分かる | 効率が分かる |
IRRがWACCを下回っている場合、その投資は資金調達コストすら賄えていないことになります。企業価値を損なうため、投資すべきではありません。
回収期間法とその欠点
投下資金を何年で回収できるかを見る、単純な方法です。分かりやすいため実務でも使われますが、2つの重大な欠点があります。
- 回収後のキャッシュフローを無視する:3年で回収したあと10年稼ぐ案件と、3年で回収して終わる案件を区別できない
- お金の時間価値を無視する:1年後の100万円と5年後の100万円を同じ扱いにしてしまう
この2つの欠点は、GMAP-BFで繰り返し問われます。特に①の「回収後を無視する」が最頻出です。
フリー・キャッシュフロー(FCF)
企業価値評価やNPV計算の元になる数値です。誰の制約も受けずに自由に処分できる現金を意味します。
FCF = EBIT×(1−税率) + 減価償却費 − 設備投資 − 運転資本増加額
- 減価償却費を足し戻す:費用だが現金は出ていないため
- 設備投資を引く:事業を続けるために必要な支出だから
- 運転資本の増加を引く:在庫や売掛金に資金が寝るため
減価償却費を足し戻す理由は繰り返し問われます。会計上の費用と現金の流出は別という点が核心です。
例題で確認する
問 投資評価において、NPVがちょうどゼロになるプロジェクトの扱いとして最も適切なものはどれか。
- (A) 大幅な赤字が確定しているため、直ちに中止すべきである
- (B) 最低限の期待利回りは確保できており、理論上は投資しても損はない
- (C) 割引計算の性質上、NPVがゼロになることはあり得ない
- (D) 必ず大きな成功をもたらすことが保証された案件である
解答:(B)
NPVゼロは、投資家が要求する利回り(資本コスト)をちょうど満たしている状態です。損得なしであって、損失ではありません。
よくある質問
NPVとIRR、どちらを使うべきですか?
理論的にはNPVが優れているとされます。IRRは規模の違う案件の比較で誤った判断を導くことがあるためです。ただし直感的に分かりやすいのはIRRです。
割引率はどう決めますか?
その投資のリスクに見合った期待利回りを使います。企業全体としてはWACCを用いるのが一般的です。
この単元、いま何問解けますか
登録なしで、その場で解けます。読んで分かったつもりでも、4択になると迷うのがこの単元です。
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第1問 割引率10%のとき、2年後の121万円の現在価値はいくらか。
121 ÷ 1.1² = 121 ÷ 1.21 = 100万円です。将来のお金を今の価値に割り引きます。
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第2問 回収期間法の欠点として指摘される点はどれか。
3年で回収したあと10年稼ぐ案件と、3年で回収して終わる案件を区別できません。時間価値も反映しません。
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第3問 IRRが企業のWACCを大幅に下回っている投資案件への対応として適切なものはどれか。
IRRがWACCを下回るということは、資金調達コストすら稼げていない状態です。実行すれば企業価値を減らします。
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