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まず結論:ROEを三つへ分けると、数値の背景が見える
ROEは自己資本に対してどれだけ当期純利益を得たかを見る指標です。本記事では、当期純利益÷平均自己資本をROE、平均総資産÷平均自己資本を財務レバレッジとします。売上高を途中に入れて約分すると、ROE=売上高当期純利益率×総資産回転率×財務レバレッジです。
ここで使う回転率は売上高÷平均総資産です。営業利益率や経常利益率をそのまま代入すると、当期純利益を分子とするROEとの等式にはなりません。ROE・ROA・ROICの定義を確認したうえで、同じ期間と測定範囲の数字をそろえます。
独自ケースA:利益10、売上200、資産100、自己資本50
分子:当期純利益/分母:売上
分子:売上/分母:平均総資産
分子:平均総資産/分母:平均自己資本
10/50と一致する
細部は図を左右に動かして確認できます。
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同じ当期純利益・売上・平均残高をそろえたデュポン分解。
総資産と自己資本は平均残高。営業利益率を混ぜていません。
金額の単位をすべて百万円とし、資産と自己資本は当期の平均残高とします。A社の利益率は10÷200=5%、回転率は200÷100=2回、レバレッジは100÷50=2倍。5%×2×2=20%で、直接計算したROE10÷50=20%と一致します。
途中の売上200と資産100が約分され、最後に利益10÷自己資本50だけが残ることを確かめます。回転率2を2%へ変換しないことにも注意してください。式に代入する際は、5%を0.05として掛けます。
独自ケースB:同じROE20%でも、三要素が違う
細部は図を左右に動かして確認できます。
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Aは5%×2回×2倍、Bは10%×0.5回×4倍。両社ROE20%。
ROEの一致だけで、収益構造・リスクが同じとは判断できません。
B社は当期純利益10、売上100、平均総資産200、平均自己資本50とします。利益率10%、回転率0.5回、レバレッジ4倍なので、10%×0.5×4=20%。A社とROEは同じですが、B社は売上に対する利益率が高く、資産の回転は遅く、自己資本に対する資産の倍率は高い構成です。
この3値だけで優良企業を決めることはできません。業種、資産の内容、一時損益、借入金以外の負債、金利負担なども異なり得ます。レバレッジ4倍を「有利子負債が自己資本の4倍」と読むのも誤りで、ここでの分子は総資産です。
ROE上昇の理由は、改善とは限らない
A社の当期純利益10と平均総資産100、売上200を保ち、平均自己資本が40になったとします。レバレッジは2.5倍、ROEは25%へ上がります。利益率と回転率は同じなので、上昇は自己資本という分母の変化によるものです。
自己株式取得や損失など、自己資本が変わる経緯はさまざまです。この単純例だけで特定の財務施策の効果を再現したわけではありません。現実の借入増加なら利息が変わり、純利益も動き得ます。「借入を増やせばROEが必ず上がる」と置き換えないでください。
平均残高・連結範囲・利益の段階をそろえる
| 点検項目 | 混ぜると起きること |
|---|---|
| 期首期末平均か期末残高か | 同じ会社でも比率が変わる |
| 当期純利益か営業利益か | 三要素の積とROEが一致しなくなる |
| 連結か単体か | 売上・利益・資本の範囲がずれる |
| 自己資本が小さい・負の場合 | 比率の変動や符号を通常どおり解釈できない |
残高を平均するのは、期間の利益と対応させる一つの方法です。期中に大きな増資等がある場合は単純な期首期末平均にも限界があります。設問に定義が書かれていれば、その定義で計算し、異なる定義の公表値と無条件に比較しません。
片方の会社だけ、期末残高を使うと比較が崩れる
比率を比較する表の脚注には、利益が当期純利益か営業利益か、資産が総資産か事業資産かも記します。三項の途中で定義を変えると約分が成立しなくなります。ROAやROICを扱う別の分析式を、そのままこの三項の一つへ代入しないことが重要です。
純利益10、期首自己資本40、期末自己資本60なら、単純平均50を使ったROEは20%、期末60だけなら約16.67%です。利益は同じでも、残高をどう選ぶかで値が変わります。他社比較で片方だけ期末値にすると、その違いを業績差だと誤解しかねません。
同じ期首期末平均でも、増資が期首直後か期末直前かで、実際に使われた資本の時間は異なります。問題が単純平均を指定する場合は従い、実際の分析では期中変動や定義を確認します。「平均残高を使えば常に完全」という意味ではありません。
改善策を考えるときは、三要素の相互作用も読む
在庫を減らせば資産回転率が上がる計算でも、欠品により売上が減るかもしれません。値上げで利益率が上がっても、販売数量が落ちる可能性があります。レバレッジを上げると利息や財務上の余裕も変わるため、一要素だけを動かした計算と実際の施策を区別します。
デュポン分解は観測値を整理する等式で、三つのつまみを独立に操作できる経営モデルではありません。まず数値がどう分解されるかを確認し、次にどの施策が複数の要素へ影響するかを考えます。施策の効果を説明するには、利益・資産・自己資本への影響を併せて示します。
確認例:一要素を変えて、他を固定した計算
利益率4%、回転率1.5回、レバレッジ2倍ならROEは12%です。回転率だけを2回へ変えれば16%になります。差は4ポイントで、元の12%に対する相対増加は約33.33%です。比率の差と増加率も区別してください。
逆算では、ROE18%、利益率6%、回転率1.5回なら、レバレッジは0.18÷(0.06×1.5)=2倍です。どの数字が分母へ入るかを確認してから、増減の説明を付けると、公式の記憶だけに頼らず判断できます。
次の学習と確認資料
収益性指標の定義 / 借入と利益の関係 / 割合とポイント差
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この記事の図・数値・ケースは編集部独自の学習用です。公式問題や過去問の再現ではなく、出題頻度や合格を保証しません。当サイトは非公式の対策サービスです。
確認資料:OpenStax:収益性指標とデュポン分解(2026年10月20日確認)。図解と練習例は当編集部が別途作成しています。
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