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まず結論:社内価格は利益の配分を変えるが、現金を外から増やさない
社内振替価格は、同一企業の部門間で製品やサービスをやり取りするときの内部価格です。売り手部門には売上、買い手部門には原価として記録されるため、価格を変えると部門利益は動きます。同じ数量・同じ外部取引なら、社内の売上と仕入は全社集計で相殺され、価格変更そのものから全社利益は増えません。
この記事は一社内の管理会計の学習例です。別法人や国境をまたぐ取引の税務上の移転価格とは対象が異なります。部門に権限を渡す場合、会社全体に有利な選択と各部門の評価が一致するかを考えます。
独自ケース:内部製造600円、外部購入900円
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社内800円は製造部門の売上と組立部門の仕入。全社の追加費用は600円、外部購入なら900円。
同じ数量・品質で、製造部門に余力がある独自例です。
製造部門が部品を1個600円の追加変動費で作り、組立部門は同じ品質の部品を外部から900円で購入できるとします。製造部門には余力があり、固定費はどちらを選んでも同じ。運送費などの差もないとします。全社で見れば、内部製造により1個300円を節約できます。
内部価格700円なら、製造部門の増分利益は100円、組立部門の外部購入に対する節約は200円です。800円なら200円と100円に分かれます。合計はどちらも300円。この条件では、内部価格の変更は同じ利益の配分を変えています。
余力がある場合の交渉範囲を示す
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余力ありの売り手下限600と買い手上限900は重なる。満杯の売り手下限1000と買い手上限900は重ならない。
上段の線は600〜1,000円の共通目盛。下段では交渉可能範囲が重なりません。
売り手が追加変動費だけを考えるなら下限600円、買い手の代替案が外部購入900円なら上限900円です。600〜900円の範囲で、両部門が外部案以上となる内部取引を検討できます。端点では片側の部門の増分便益が0となります。
これは数値条件から出る範囲であり、必ずこの価格で交渉が成立するという予測ではありません。部門の評価方法、長期の設備維持費、会社の方針も関係します。固定費の回収を考える長期の価格設計と、短期の余力活用を区別してください。
満杯の売り手は、外部販売の利益を失う
製造部門が同じ部品を外部へ1,000円で販売でき、能力が満杯とします。社内向けを1個作ると外部販売1個を失うなら、機会費用は1,000−600=400円。売り手の短期下限は変動費600+機会費用400=1,000円です。
買い手は外部から900円で買えるので、単純な両部門の許容範囲は重なりません。全社では、社内へ回すと外部売上1,000円を失って外部購入900円を避けるため、差額は−100円です。品質や納期の差がなければ、外部販売を保ち外部購入する方が有利です。
市場価格・原価・交渉価格は、条件を見て使い分ける
| 方式 | 利点の例 | 確認する条件 |
|---|---|---|
| 市場価格基準 | 外部の代替案と比べやすい | 同じ品質・数量・納期か |
| 原価基準 | 社内計算の根拠を作りやすい | どの原価か、非効率を転嫁しないか |
| 交渉価格 | 当事者の情報を反映できる | 交渉力や評価が全社判断をゆがめないか |
売り手の実際原価をそのまま価格へ乗せると、効率改善の動機が弱くなる場合があります。逆に変動費だけでは、投資や能力維持への評価が不足する場合があります。どの方式も、名前だけで常に最善とは決まりません。
輸送費や品質が違えば、外部価格をそのまま上限にしない
移転価格の調整によって売り手の利益が増え、買い手の利益が同額減っても、連結した全社利益は変わりません。しかし、その価格を理由に実際の調達先や数量が変われば、外部への支払や失われる販売が変わります。「価格の付替え」と「それが誘発する意思決定」を分けて評価します。
外部価格900円に運賃40円が必要で、内部供給には追加運賃がないなら、買い手が避けられる外部調達費は940円です。同じ余力条件なら、全社の差額は940−600=340円。最初の300円は、運賃に差がないという条件で出した数字でした。
外部品だけ不良率や納期が違う場合、同じ部品一個の表示価格だけでは代替案を比べ切れません。必要数量、検査、欠品の影響まで条件をそろえます。市場価格を使う方式でも、比較対象が本当に同等かという確認は省けません。
評価対象を変えると、部門の行動も変わり得る
売り手を売上だけで評価すると、内部価格を高くする交渉へ力を使うかもしれません。買い手の仕入原価だけを評価すれば、全社には有利な内部調達を避ける可能性もあります。全社利益への貢献、品質、納期などを合わせて評価する設計が検討対象になります。
ただし評価項目を増やせば必ず解決するわけではありません。各部門がコントロールできる範囲、必要な情報、評価期間、責任者の権限を確認します。ケース問題では、部門の努力不足と決める前に、評価制度が合理的な行動を逆方向へ誘導していないかを読み取ります。
確認例:内部取引の利益を二重計上しない
100個を内部価格800円で取引した余力ありの例なら、製造部門の増分利益2万円、組立部門の節約1万円、全社の改善は3万円です。内部売上8万円を全社の新たな外部売上に足すと誤ります。相手部門の仕入も同時に記録されるからです。
まず外部との収支で全社の差額を計算し、その後に内部価格で部門へ配分すると検算できます。責任範囲と評価の整合を確認する観点は、複数指標で業績を見る考え方にもつながります。
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この記事の図・数値・ケースは編集部独自の学習用です。公式問題や過去問の再現ではなく、出題頻度や合格を保証しません。当サイトは非公式の対策サービスです。
確認資料:OpenStax:責任センターと振替価格(2026年10月20日確認)。図解と練習例は当編集部が別途作成しています。
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