最終更新:2026/08/28
組織構造は「分化」と「統合」の設計
組織を作るとは、次の2つを決めることです。
- 分化:どう分けるか。専門的な業務ごとにユニットを分け、それぞれの効率と付加価値を高める
- 統合:分けたものをどうまとめるか。分けたままでは全体として動かない
分けるほど専門性は上がりますが、部門間の調整コストも増えます。この釣り合いをどう取るかが組織設計です。
機能別組織
営業・製造・開発・管理といった職能ごとに分ける形です。
| 長所 | 短所 |
|---|---|
| 機能の重複がなく、経営効率が高い | 事業ごとの損益責任が不明確 |
| 専門性を深めやすい | 部門間の調整が経営層に集中する |
| 小規模でも成立する | 経営者候補が育ちにくい |
同じ機能が1か所にまとまるため、重複がなく効率的です。これが事業部制と比較したときの最大の長所として問われます。
事業部制組織
製品・地域・顧客といった事業単位で分ける形です。各事業部が営業も製造も抱えます。
| 長所 | 短所 |
|---|---|
| 事業ごとの損益責任が明確 | 機能が事業部ごとに重複する |
| 市場の変化に速く対応できる | 事業部間で資源の取り合いが起きる |
| 経営者候補が育つ | 全社最適より部分最適に流れやすい |
事業部制のデメリットとして最も問われるのは「経営資源の取り合いや不要な競争」です。責任が明確になる裏返しとして起こります。
マトリクス組織
機能と事業の両方の軸で管理する形です。1人の担当者が機能長と事業長の両方に報告します。
| 長所 | 短所 |
|---|---|
| 専門性と事業対応を両立できる | 指揮命令系統が二重になる |
| 資源を柔軟に配分できる | 対立が起きやすく、意思決定が遅れる |
理論上は理想的ですが、報告先が2つある状態は現場に負担がかかります。運用の難しさが実務上の課題として知られています。
指揮命令系統・集権と分権
指揮命令系統が明確であるべき理由
問題が起きたときに誰に報告・相談すべきかが決まっていれば、混乱を防げます。曖昧だと、報告が滞るか、逆に重複します。
集権化と分権化のバランス
| 集権化 | 分権化 | |
|---|---|---|
| 意思決定の速さ | 遅い(上に上がる) | 速い(現場で決まる) |
| 判断の質 | 全社最適になりやすい | 現場情報を活かせる |
| 向く状況 | 統制が重要な場面 | 変化が速く不確実な場面 |
どちらか一方が正解ではありません。意思決定の精度と効率を高めるために、適度なバランスを取るのが答えになります。
例題で確認する
問 事業部制組織において懸念されるデメリットとして、最も適切なものはどれか。
- (A) 各事業部間で経営資源の取り合いや、不要な競争が生じることがある
- (B) 専門知識を持った人材が育ちすぎて転職してしまう
- (C) 意思決定のすべてがトップに委ねられ、現場が停滞する
- (D) 事務作業の効率が極限まで高まり、暇になる
解答:(A)
事業部ごとに独立性が高いため、全社最適より自事業部の利益を優先しがちになります。(C) は機能別組織で起きやすい問題です。
よくある質問
どの組織構造が最も優れていますか?
状況によります。事業が単一なら機能別、複数事業を抱えるなら事業部制が向きます。唯一の正解はないという点が問われます。
カンパニー制と事業部制の違いは何ですか?
カンパニー制は事業部制をさらに進め、独立性と権限を強めた形です。試験では事業部制の理解が問われることが中心です。
この単元、いま何問解けますか
登録なしで、その場で解けます。読んで分かったつもりでも、4択になると迷うのがこの単元です。
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第1問 機能別組織が事業部制組織と比較して優れている点はどれか。
同じ機能が1か所にまとまるため重複がありません。①③④は事業部制の長所にあたります。
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第2問 マトリクス組織の課題として適切なものはどれか。
機能長と事業長の両方に報告する状態は現場に負担がかかり、対立が起きると決まらなくなります。
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第3問 集権化と分権化のバランスについて、適切な考え方はどれか。
どちらか一方が正解ではありません。統制が重要な場面は集権、変化が速い場面は分権が向きます。
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