条件の矢印と、出来事の順番を分ける
「AならB」は、Aが成り立つときBも成り立つという条件の関係です。Bを先に行えば必ずAが起こる、という手順や原因の説明ではありません。短い矢印で整理するときほど、何の関係を描いたのかを言葉で残します。
AがBの十分条件、BがAの必要条件です。名前から迷ったら「Aが成立したとき、Bが欠けていてもよいか」と考えます。欠けてはいけないのが必要条件です。ただし、それがそろうだけで結果が保証されるかは別に確認します。
独自例題:申請が受理されるための条件
ある手続きでは、申請が受理されていれば、本人確認と書類確認の両方が完了している。これ以外の受理条件は示されていない。このルールから必ず言えるものはどれか。
- A:本人確認が完了していれば、申請は受理されている
- B:申請が受理されていなければ、本人確認は完了していない
- C:本人確認が完了していなければ、申請は受理されていない
- D:本人確認と書類確認が完了していれば、申請は必ず受理されている
解説:受理済みなら、二つの確認は欠けない
- 本文の条件受理済み ⇒ 本人確認も書類確認も完了
- 必ず言える対偶本人確認が未完了 ⇒ 未受理
- 保証されない逆本人確認・書類確認が完了 ⇒ 必ず受理、とは言えない
反例:二つの確認は完了しているが、追加審査中で未受理。この状態は本文のルールを破りません。
矢印は条件の関係を表します。作業順序や原因ではありません。追加審査は誤答を検証するための可能な状態で、実在する事実として加えていません。
正解はCです。本人確認が未完了なのに受理されていると、本文のルールに反します。したがって本人確認が未完了なら未受理と判断できます。一方、確認が完了していても、別の審査が残っている可能性は排除されていません。
Aは必要条件を十分条件に変えています。Dも二つの必要条件がそろうことと、すべての受理条件がそろうことを同一視しています。Bは「未受理」の理由を本人確認の未完了に限定していますが、書類確認や別の審査が理由かもしれません。
反例を一つ作るなら、本人確認も書類確認も完了したが、追加審査中で未受理という状態を考えます。この状態は本文のルールを破らず、A・B・Dを崩します。追加審査が実際にあると断定する必要はなく、本文から否定できない状態であることが重要です。
逆・裏・対偶を、一つの文で照合する
| 関係 | AならBから作る文 | 元の条件だけで保証されるか |
|---|---|---|
| 逆 | BならA | 保証されない |
| 裏 | AでないならBでない | 保証されない |
| 対偶 | BでないならAでない | 成り立つ |
表を1行ずつ読む
- 関係
- 逆
- AならBから作る文
- BならA
- 元の条件だけで保証されるか
- 保証されない
- 関係
- 裏
- AならBから作る文
- AでないならBでない
- 元の条件だけで保証されるか
- 保証されない
- 関係
- 対偶
- AならBから作る文
- BでないならAでない
- 元の条件だけで保証されるか
- 成り立つ
受理をA、本人確認完了をBとすると、Cは対偶に当たります。否定するときは主語と時点をそろえてください。「現時点で未完了」を「今後も完了しない」へ変えると、別の文になってしまいます。本文にない時間の範囲を付け加えないようにします。
「両方」の否定は「どちらかが欠ける」
本人確認と書類確認の両方が完了、の否定は、少なくとも一方が未完了です。両方とも未完了に限定すると、本人確認だけが未完了という状態を取りこぼします。日本語の「両方ではない」を「どちらでもない」と読み違えないでください。
同じように「全員が完了した」の否定は「完了していない人が少なくとも一人いる」です。「誰も完了していない」ではありません。人数条件と組み合わせるときは、全員・一部・少なくとも一人を図や表へ残すと、取りこぼしに気づけます。
条件だけでは、実在する事例まで決まらない
『各人に一件ずつ』など別の条件と組み合わせる例は担当者と出張先の対応表で練習できます。必要条件の向きと、行・列の一対一制約を分けて書きます。
この例題は受理された申請が実際に一件あるとは述べていません。受理済みなら満たすべき条件が分かることと、受理された申請が存在することを区別します。ルールの説明を、観測された実績へ置き換えないでください。
条件の整理は論理構造把握、量化表現は集合の四領域、観測から原因へ進む際の検証は論証1の仮説検証で練習できます。復習では、誤答肢を否定できる具体的な状態を一つ書き、元のルールを破っていないか確かめます。
対偶と、元の条件文の否定を区別する
対偶は元の条件を保つ変形ですが、否定は真偽を逆にする文です。全支店・社員・研修の三段階の否定では、同じ対象範囲を維持しながら『全員』と『一人以上』を書き換える練習を扱います。
公式情報とこの記事の位置づけ
グロービスの公式の受験科目案内では、CTは複数の条件を整理・組み合わせて判断する力などを測る試験とされています(確認日:2026年9月9日)。本記事はその学習に使う独自の練習例です。集合や対偶の出題頻度を公式が保証しているという意味ではありません。
例題・図解は当サイトのオリジナルです。公式問題・過去問の転載や再現ではなく、実際の出題・難易度・合格を保証しません。当サイトはグロービスの公式サービスではありません。受験時の条件は勤務先の案内を優先してください。
よくある質問
必要条件が全部そろえば十分条件ですか?
条件の一覧が完全であると本文に示されているかを確認します。いくつかの必要条件が挙げられているだけなら、それらがそろっても他の条件が残る可能性があります。
対偶は原因と結果を逆にすることですか?
いいえ。条件文を論理的に同じ意味の否定形へ直す操作です。因果の方向や出来事の順番が逆になるという意味ではありません。
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