否定は、反対らしい文ではなく真偽が逆になる文
『全員が合格した』の否定は『少なくとも一人は合格していない』です。『全員が不合格だ』では強すぎます。一部だけが不合格の状態では、元の文も『全員が不合格』も偽になってしまうからです。論理的な否定は、対象範囲を同じにしたどの状態でも、元の文と真偽が逆になります。
長い文では、全員という語だけを置き換えて終わりにできません。『すべての支店』『少なくとも一人の社員』『AとBの両方』のように、範囲が入れ子になっているときは、外側の対象から順に分けます。日常会話の『一部』が全員を除くように聞こえても、本記事の『少なくとも一人』は全員の場合も含みます。
独自例題:各支店に両方の研修を終えた社員がいる
ある会社には複数の支店があり、各支店に社員が一人以上いる。対象日時と所属を固定し、A研修・B研修はそれぞれ修了か未修了のどちらかとする。『すべての支店に、A研修とB研修の両方を修了した社員が少なくとも一人いる』という文の論理的な否定として、適切なものを選べ。両方の研修を修了するのは同じ社員を指す。
- A:すべての支店で、全社員がA研修もB研修も修了していない
- B:A研修とB研修の両方を修了した社員が一人もいない支店が、少なくとも一つある
- C:どの支店にも、A研修とB研修の両方を修了した社員はいない
- D:A研修を修了していない社員が、会社全体で少なくとも一人いる
解説:一つの支店で、該当する社員がゼロなら崩れる
正解はBです。元の文を崩すには、すべての支店を失敗させる必要はありません。どこか一つの支店で『両方修了した社員が少なくとも一人いる』が成立しなければ十分です。その支店には、両方修了した社員が一人もいません。他の支店の修了状況は問いません。
北支店
社員1:A・B両方修了
社員2:両方未修了
東支店
社員1:Aだけ修了
社員2:Bだけ修了
西支店
社員1:A・B両方修了
社員2:Aだけ修了
一つの支店で同じ社員が両方修了を満たさない。
北・西に修了者がいても、元の「すべての支店」は偽。
反例を一つ示した図です。各支店に社員2人、対象日時・所属は固定。研修ごとの修了者を別人から寄せ集めないようにします。
図の東支店は、Aだけ修了した社員とBだけ修了した社員で構成されています。研修ごとに見れば修了者がいても、同じ社員が両方を修了したことにはなりません。この支店が一つあるだけで、元の『すべての支店』は偽になります。図は反例の一つで、可能な社員配置をすべて並べたものではありません。
誤答は、強すぎる条件か、崩せない条件かで点検する
| 選択肢 | 問題点 | 確かめ方 |
|---|---|---|
| A | 全支店・全社員・両研修未修了を要求して強すぎる | 図では北・西に両方の修了者がいても元の文は偽 |
| C | すべての支店で該当者ゼロを要求して強すぎる | 一つの支店だけゼロでも元の文は偽 |
| D | 他の社員が両方修了していれば元の文と両立する | 全支店に修了者と未修了者が一人ずついる状態を作る |
表を1行ずつ読む
- 選択肢
- A
- 問題点
- 全支店・全社員・両研修未修了を要求して強すぎる
- 確かめ方
- 図では北・西に両方の修了者がいても元の文は偽
- 選択肢
- C
- 問題点
- すべての支店で該当者ゼロを要求して強すぎる
- 確かめ方
- 一つの支店だけゼロでも元の文は偽
- 選択肢
- D
- 問題点
- 他の社員が両方修了していれば元の文と両立する
- 確かめ方
- 全支店に修了者と未修了者が一人ずついる状態を作る
AやCが真なら元の文を崩せますが、それだけでは『否定と同じ意味』とは言えません。元の文が偽になるすべての状態を拾う必要があります。逆にDは、ある社員が未修了というだけで、同じ支店の別の社員が両方修了している可能性を残します。
このように、否定を選ぶ問題と、反例として使える事実を選ぶ問題では要求が異なります。前者は真偽が常に逆になる文、後者は元の主張を破る具体的な状態を探します。設問の言葉を読み飛ばさないようにしましょう。
支店・社員・研修の三段階で書き換える
| 範囲 | 元の文 | 否定後 |
|---|---|---|
| 支店 | すべての支店について | 少なくとも一つの支店があり |
| その支店の社員 | 両方修了した社員が少なくとも一人いる | 両方修了した社員が一人もいない |
| 一人の社員 | A修了、かつB修了 | A未修了、またはB未修了(両方未修了も含む) |
表を1行ずつ読む
- 範囲
- 支店
- 元の文
- すべての支店について
- 否定後
- 少なくとも一つの支店があり
- 範囲
- その支店の社員
- 元の文
- 両方修了した社員が少なくとも一人いる
- 否定後
- 両方修了した社員が一人もいない
- 範囲
- 一人の社員
- 元の文
- A修了、かつB修了
- 否定後
- A未修了、またはB未修了(両方未修了も含む)
否定後の特定支店では、各社員がAかBの少なくとも一方を未修了です。どの研修を未修了かは社員ごとに違って構いません。『全社員がAを未修了』と、同じ研修へ勝手に固定すると、東支店の例を取りこぼします。
記号を使う場合も、まず『支店ごとに社員が存在する』という順序を保ちます。社員を会社全体で探してから所属を無視して各支店へ当てはめると、別の主張になります。解説を覚えるより、誰について、どこまで要求しているかを説明する練習が有効です。
条件文の否定と対偶を混ぜない
別の独自例として『A研修を修了した社員は、全員B研修も修了している』を考えます。否定は『Aを修了したがBを未修了の社員が少なくとも一人いる』です。一方、対偶は『Bを未修了の社員はAも未修了』で、元の条件文と同じ意味を保ちます。対偶は元の主張を否定する文ではありません。
この違いは必要条件・十分条件と対偶で詳しく扱います。『両方』と『少なくとも一方』は集合の四領域、長文で条件を落とさない読み方は文章理解へつながります。
復習と参照:まず一つの反例を自分で作る
解答を閉じ、支店を三つ、社員を二人ずつ描いて、元の文だけが偽になる配置を作ってください。次に全支店へ両方修了した社員を一人ずつ置き、Dの『未修了者がいる』を同時に満たせるか確かめます。答えの語感ではなく、成立する状態で検算する練習です。
量化表現の基本的な否定は、OpenStaxのContemporary Mathematics 2.1(Statements and Quantifiers)で確認できます。支店と研修の例、選択肢、反例図、段階別の説明は当サイト独自です。
公式の測定対象と、本記事の位置づけ
グロービスの受験科目案内は、CTで条件の関係整理や、文章・図表に基づく仮説と検証点の判断を扱うと説明しています(確認日:2026年9月9日)。本記事の分類はそれらを練習するための当サイト独自の整理で、特定形式の本番出題数や頻度を示すものではありません。
問題・図解は公式問題・過去問の転載や再現ではなく、当サイトのオリジナルです。本番と同じ難易度・採点・出題内容、得点上昇や合格を保証しません。当サイトはグロービスの公式サービスではありません。
よくある質問
『全員が修了』の否定は『全員が未修了』ですか?
いいえ。否定は『少なくとも一人は未修了』です。一部だけ未修了の状態でも元の文は偽になるため、全員未修了では強すぎます。
A修了者とB修了者が同じ支店にいれば、両方修了した社員がいると言えますか?
言えません。二人が別人なら、両方修了した社員が一人もいない場合があります。『同じ社員が両方』という条件を維持して判断します。
否定と対偶はどう違いますか?
否定は元の文と真偽が逆になる文です。対偶は条件文の向きと否定を組み替え、元の文と同じ意味を保つものです。
6問・12分で、CTの6領域を体験する
6領域から各1問を解き、正誤・所要時間・解説を確認できます。6問では能力やランクを判定しません。30問・60分の通し模試はCTパックに含まれます。無料お試しは登録不要。希望する方は登録後に結果を保存できます。
有料模試の独自スコアは学習用の参考指標であり、本番の予測点・合否判定ではありません。無料6問では能力判定・推定スコア・ランクは表示しません。
▶ GMAP-CT 無料6問を試す(12分)※本サイトは独立した非公式の試験対策コンテンツであり、株式会社グロービス/GMAPの公式サービスとは関係ありません。試験の形式や出題範囲は実施回・実施企業により異なる場合があります。
