目次:読みたい項目を選ぶ
全体像・読み進め方を確認する
LTVとCACは、顧客価値と獲得費用を比べる指標
LTVは顧客との関係を通じて得られる価値、CACは顧客を獲得するための費用を表します。ただし、LTVを売上で測る場合と、粗利益や顧客別の貢献で測る場合があります。略語だけ同じでも分子の定義が違うため、計算前に式の範囲を明示します。
本記事はマーケティング用語の使い分けから一歩進み、同じ顧客群の獲得・継続・回収を具体的に計算します。数値は独自の学習例で、当サイトの売上実績でも広告費の推奨値でもありません。実務の予測値を保証するモデルではありません。
独自ケース:費用30万円、新規の有料顧客50人
ある期間に顧客獲得費用30万円を使い、その施策から新規の有料顧客50人を得たと仮定します。CACは300,000÷50=6,000円/人です。費用にはこの例で対象と決めた広告・獲得活動の費用を全て含め、どの顧客を数えたかを合わせます。
注文が200件あったとしても、同じ50人の追加注文を含むなら、新規顧客CACの分母を200へ変えてはいけません。登録100人を分母にした3,000円も登録獲得単価であり、有料顧客CAC6,000円とは別です。分子の費用と、分母の顧客群・期間をそろえます。
売上LTVと粗利益LTVを計算する
月額2,000円、同じ顧客群の平均有料利用期間を12か月と仮定します。売上LTVは2,000×12=24,000円/人。粗利益率60%なら、粗利益LTVは24,000×0.6=14,400円/人です。この平均期間は仮定で、全員が12か月継続するという意味ではありません。
- 売上LTV:24,000円/人月2,000円×平均12か月
- 粗利益LTV:14,400円/人売上LTV×粗利益率60%
- 顧客別の貢献:12,000円/人粗利益−未算入の変動費2,400円
- CAC控除後:6,000円/人顧客別の貢献−獲得費用6,000円
独自の費用区分。共通固定費・税金・割引は含まず、最終利益ではありません。
| 指標 | 計算 | 値 |
|---|---|---|
| 売上LTV | 2,000円×12か月 | 24,000円 |
| 粗利益LTV | 24,000円×60% | 14,400円 |
| 顧客獲得単価CAC | 300,000円÷50人 | 6,000円 |
| 粗利益LTV/CAC | 14,400円÷6,000円 | 2.4倍 |
売上LTV/CACなら24,000÷6,000=4倍になります。同じ事業について2.4倍と4倍の両方が出るのは矛盾ではなく、LTVの定義が違うためです。「4倍だから利益は4倍」とは読まないようにします。
粗利益の外にある顧客別変動費も残る
粗利益の計算にまだ含めていない顧客別の変動費が月200円あるとします。12か月で2,400円です。粗利益14,400円からこれを引いた顧客別の貢献は12,000円、さらにCAC6,000円を引くと6,000円が残ります。変動費を既に原価へ含めた場合は、同じ費用を二回引きません。
残る6,000円は最終利益ではありません。共通の固定費、税金、資金調達の費用などを本例では含めていないためです。「獲得費用を回収できるか」と「会社として利益が出るか」を分け、費用の範囲を式の横へ書きます。
回収期間:生涯の合計と、今の現金は別
このモデルの一人当たり月間の貢献は2,000×60%−200=1,000円です。CAC6,000円を先に支払い、同じ顧客が毎月この貢献を生むなら、回収の目安は6,000÷1,000=6か月。最初の月に12,000円を得るわけではありません。
同じ顧客が毎月継続し、月1,000円の貢献を生む仮定。退会を含む実際のコホートの回収保証ではありません。
ここでの6か月は、継続中の顧客一人の単純な費用回収モデルです。全顧客の期待利用期間が12か月という情報だけから、実際のコホートの現金が6か月で必ず回収できるとは言えません。退会時点、請求・入金時点、返金、費用支払いの時点を含む別の収支表が必要です。
平均だけでなく、同じ経過月数の顧客群を比べる
先月獲得した顧客の実績1か月と、一年前の顧客の実績12か月を比べると、後者の累計が大きいのは当然です。獲得した月ごとの顧客群を同じ経過月数で比較し、実績と将来の見込みを分けます。実績1か月から12か月分を無条件に年換算しないことも重要です。
また、少人数の高額顧客が平均を上げる場合があります。平均LTVが高い集団でも、新しく獲得した顧客が同じ価値になるとは限りません。商品の変更、継続率、原価、獲得経路、返金条件が変わったら、モデルの入力も見直します。
「LTV/CACは3倍なら安心」と一律には決めない
倍率の目安をそのまま合否判定へ使うと、売上LTVと利益LTVの違いや、現金の回収速度を落とします。粗利益LTVがCACを上回っても、共通費用を賄えない場合や、回収までに資金が不足する場合は残ります。比率だけで事業が健全だとは断定しません。
逆に、LTVの予測が不確かなら、その予測を前提に獲得費用の上限を断言することも避けます。期間を短くした場合、粗利益率が下がった場合、追加費用が増えた場合を別に計算して、結論がどの仮定へ依存するかを確認します。
追加ケース:利用期間が8か月へ短くなる
平均有料利用期間を8か月へ変更し、月額・粗利益率・月間変動費・CACは同じとします。売上LTV16,000円、粗利益LTV9,600円、追加変動費1,600円、顧客別貢献8,000円、CAC控除後2,000円です。粗利益LTV/CACは1.6倍へ下がります。
6か月という一人の単純回収目安は、月間の貢献が同じなので変わりません。しかし、利用期間が短くなるほど回収前に離れる顧客の影響を受けやすくなります。生涯合計と回収モデルの前提を同時に確認し、変化した期間を式に反映してください。
復習:円/人と、円/人/月を混ぜない
CACは円/人、月間の貢献は円/人/月です。前者を後者で割ると月という単位へ戻ります。LTVとCACの比は同じ円/人同士なので倍率になります。単位をそろえることで、人数・注文数・月数の混同を検算できます。
最後に「売上からどこまで費用を引いたか」「顧客群と期間が一致するか」「実績と予測を区別したか」を三行で記録します。現在価値まで比較する場合は現在価値と割引率へ進みます。本例は割引や税金を含めない単純モデルです。
次の学習と確認資料
マーケティング用語 / CRMと顧客満足 / 現在価値の基礎
考え方を確認したら、問題・解説の見本、登録不要の無料6問を確認できます。教材条件は料金ページで確認してください。
この記事の図・数値・ケースは編集部独自の学習用です。公式問題や過去問の再現ではなく、出題頻度や合格を保証しません。当サイトは非公式の対策サービスです。
確認資料:Shopify:売上ベースと利益ベースの顧客生涯価値(2026年10月12日確認)。図解と練習例は当編集部が別途作成しています。
受験対策の中でどこを練習するかは、GMAP対策の始め方で確認できます。本記事は関連する考え方の学習で、公式の出題指定ではありません。
無料の6問で、問題と解説を試しましょう
6科目から1問ずつ。会員登録なしで独自問題と解説を体験できます。科目全体の実力や本番スコアを判定するものではありません。続けて学びたい方は、無料登録後に残り16問へ進めます。
▶ 登録不要・無料の6問を始める※本サイトは独立した非公式の試験対策コンテンツであり、株式会社グロービス/GMAPの公式サービスとは関係ありません。試験の形式や出題範囲は実施回・実施企業により異なる場合があります。
