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経験曲線は、累積生産量とコストの関係を扱う
経験曲線は、累積生産量が増えるにつれ、単位当たりのコストが低下する関係を捉える考え方です。規模の経済がある時点の生産規模を重視するのに対し、経験曲線は過去から積み上がる生産経験に注目します。両者は実際の事業で同時に働く場合もあります。
概念の比較は規模・範囲の経済と経験曲線で確認できます。本記事はそこから計算へ進み、累積量が倍になるたび単価へ同じ倍率を掛ける独自モデルを扱います。原価が自動的に下がる保証や、公式試験の必須公式を示すものではありません。
80%曲線は、単価が80%へ残るという意味
ここでは累積生産量が2倍になるたび、その時点の単位コストが直前の80%になると仮定します。コストの低下率は20%。80%低下して20%へ残るという意味ではありません。モデルの呼び方を確認したら、「残る倍率」と「低下する割合」を二行に分けます。
初期の累積生産量を1,000個、その時点の単位コストを1,000円と置きます。累積2,000個なら1,000×0.8=800円、4,000個なら800×0.8=640円、8,000個なら640×0.8=512円です。毎回同じ倍率でも、減る金額は200円、160円、128円と異なります。
累積量と単位コストを、同じ表とグラフに置く
| 累積生産量 | 最初からの倍増回数 | その時点の単位コスト |
|---|---|---|
| 1,000個 | 0回 | 1,000円 |
| 2,000個 | 1回 | 800円 |
| 4,000個 | 2回 | 640円 |
| 8,000個 | 3回 | 512円 |
独自のべき乗モデル。横軸は等間隔の倍増回数でなく、個数に比例した目盛。各点はその時点の単位コストです。
図の横軸は累積量そのものです。1,000→2,000個と4,000→8,000個は、どちらも2倍ですが、増加する個数は違います。横位置を同じ間隔で並べる図なら、倍増回数や対数目盛を使っていることを明示する必要があります。この図では個数に比例した目盛を使います。
今月2倍作ることと、累積量が2倍になることは別
過去までの累積が1,000個、今月の生産が500個なら、月末の累積は1,500個です。翌月に1,000個作って月間生産が2倍になっても、累積は2,500個で、1,500個の2倍ではありません。毎月の生産量の伸びを、そのまま経験曲線の倍増へ当てはめないようにします。
- 開始時:累積1,000個過去からの積み上げ
- 今月:500個作る累積は1,500個
- 翌月:1,000個作る月間量は2倍だが、累積は2,500個。3,000個ではない
月間量と累積量を別に記録する独自ケース。月ごとの単価をこの情報だけで確定していません。
逆に、累積1,000個の状態から追加で1,000個作れば累積2,000個となり、モデル上の倍増を一回適用できます。横軸へ置く数字が期間量か累積量かを確認する習慣は、累計グラフの読み方にもつながります。
累積が4倍なら、20%を二回引くのではなく倍率を二回掛ける
1,000→4,000個は2倍が二回なので、1,000×0.8²=640円です。最初からの低下率は1−0.64=36%。20%+20%=40%と足して600円にすると、二回目にも最初の1,000円を分母として扱ってしまいます。
別の85%曲線なら、4倍後は0.85²=0.7225倍、低下率27.75%です。曲線の倍率が違うモデルを比較するときは、累積量の増え方も同じ条件にそろえます。単価の低下幅だけで企業の優劣や実際の利益を決めることはできません。
倍増の途中は、採用したモデルを確認する
累積3,000個の単価を、800円と640円の単純な平均720円へ決めることはできません。滑らかなべき乗モデルC(X)=1,000×(X/1,000)^b、b=log(0.8)/log(2)を採用するなら、3,000個の単価は約702円になります。logの底は分子と分母でそろえます。
この式は、今回の80%倍増モデルを倍増の途中へ拡張した仮定です。設問が倍増時点だけを求めているなら、対数を使わず0.8を必要な回数掛ければ十分です。指定がない中間点を勝手に補間したり、計算の複雑さだけで解法を選んだりしないようにします。
その時点の単価を、過去の全量へ掛けない
累積4,000個で単位コスト640円になったというモデルから、過去に作った全4,000個の総コストを640×4,000と確定することはできません。前の時点では単価が違っていたためです。総コストを求めるには、期間ごとの単価・数量や、累積平均コストとして定義した別のモデルが必要です。
「学習曲線」と呼ばれるモデルにも、その時点の単位コストや累積平均工数を扱う異なる定義があります。本記事の表は、その時点の単位コストを比較するものです。名称だけで同じ式と決めず、縦軸が何を表すかを確認してください。
実務で自動的に成立しない理由も添える
BCGが説明する経験曲線は、経験をコスト低減につなげる管理や改善の重要性も含んでいます。設備の変更、製品構成、品質の改善、材料価格、物価、技術の変化があれば、同じ累積量でも実際の単価は変わり得ます。大量に作るだけで定率の低下が続くとは限りません。
特に、新製品を旧製品と同じ累積経験へ足してよいか、名目の円で比べているか、同じ品質や範囲のコストかを確認します。経験曲線の計算モデルと、値下げしても採算が取れるという価格判断は別の課題です。
復習:量・倍率・時点を三行で説明する
累積生産量が8倍になったとき、倍増は三回で、単価は0.8³=0.512倍です。最初の1,000円から512円へ下がり、低下率は48.8%。金額の差488円と割合48.8%も区別して記録してください。
最後に、期間生産量と累積量、残る80%と下がる20%、時点単価と過去の総コストを自分の言葉で分けます。計算の数字を変えても、この三つを確認できれば、経験曲線を単なる暗記から判断へつなげられます。
次の学習と確認資料
規模・範囲・経験曲線 / 戦略用語の比較 / 累計グラフ
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この記事の図・数値・ケースは編集部独自の学習用です。公式問題や過去問の再現ではなく、出題頻度や合格を保証しません。当サイトは非公式の対策サービスです。
確認資料:BCG:累積生産量と経験曲線(2026年10月12日確認)。図解と練習例は当編集部が別途作成しています。
受験対策の中でどこを練習するかは、GMAP対策の始め方で確認できます。本記事は関連する考え方の学習で、公式の出題指定ではありません。
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