最終更新:2026/08/27
損益分岐点=ちょうど赤字を脱する売上高
損益分岐点売上高とは、利益がゼロになる売上高です。これを超えれば黒字、下回れば赤字になります。
計算式はこれだけです。
損益分岐点売上高 = 固定費 ÷ 限界利益率
この式を丸暗記するのではなく、なぜこうなるかを理解しておくと応用が利きます。
限界利益とは「1円売るごとに残る額」
まず費用を2つに分けます。
| 費用の種類 | 内容 | 例 |
|---|---|---|
| 変動費 | 売上に比例して増える費用 | 原材料費、仕入原価、販売手数料 |
| 固定費 | 売上に関係なく発生する費用 | 家賃、人件費、減価償却費 |
限界利益 = 売上高 − 変動費。売上から、それを作るのに直接かかった費用を引いた残りです。
限界利益率 = 限界利益 ÷ 売上高。1円売るごとに何円残るかの割合です。
なぜ固定費を限界利益率で割るのか
限界利益は固定費を回収するための原資です。1円売るごとに0.4円残るなら、固定費600万円を回収するには600 ÷ 0.4 = 1,500万円売る必要があります。これが損益分岐点です。
計算の手順
例:固定費600万円、売上高1,000万円、変動費600万円
- 限界利益 = 1,000 − 600 = 400万円
- 限界利益率 = 400 ÷ 1,000 = 0.4
- 損益分岐点売上高 = 600 ÷ 0.4 = 1,500万円
最頻出のひっかけ/変動費率(0.6)で割ると600÷0.6=1,000万円となり、それも選択肢に用意されています。割るのは限界利益率です。
派生する3つの計算
① 目標利益を達成する売上高
(固定費 + 目標利益)÷ 限界利益率
目標利益は「追加で回収すべき固定費」と同じ扱いになります。上の例で目標利益200万円なら、(600+200)÷0.4 = 2,000万円です。
② 安全余裕率
(実際売上 − 損益分岐点売上)÷ 実際売上
売上がどれだけ落ちても赤字にならないかの余裕を示します。この値が小さいほど、業績の悪化に弱い状態です。
③ 損益分岐点比率
損益分岐点売上 ÷ 実際売上。低いほど安全です。安全余裕率と足すと1になります。
オペレーティング・レバレッジ
固定費の比率が高いほど、売上の変動が利益に大きく響くという性質です。
| 固定費が高い企業 | 変動費が高い企業 | |
|---|---|---|
| 例 | 製造業、航空、ホテル | 小売、卸売 |
| 売上が伸びると | 利益が大きく伸びる | 利益は緩やかに伸びる |
| 売上が落ちると | 利益が急激に悪化 | 落ち込みは緩やか |
| 損益分岐点 | 高い | 低い |
固定費が大きい事業は「当たれば大きいが、外すと痛い」構造です。稼働率を維持するために無理な値下げに走りやすい、という論点も出題されます。
例題で確認する
問 固定費が900万円、限界利益率が30%の企業の損益分岐点売上高はいくらか。
- (A) 270万円
- (B) 1,200万円
- (C) 3,000万円
- (D) 2,700万円
解答:(C)
900 ÷ 0.3 = 3,000万円です。(A) は900×0.3の誤り、(B) は900+300の誤り、(D) は900×3の誤りです。
選択肢が離れているときは、桁を合わせるだけで決まります。900を0.3で割れば3,000台と分かれば、細かい計算は不要です。
よくある質問
限界利益と粗利益(売上総利益)は同じですか?
違います。限界利益は売上−変動費、粗利益は売上−売上原価です。売上原価には固定費的なものも含まれるため、通常は一致しません。
損益分岐点を下げるにはどうすればいいですか?
固定費を下げるか、限界利益率を上げる(変動費率を下げる、または単価を上げる)ことです。式のどちらの要素に効くかを問う設問が出ます。
この単元、いま何問解けますか
登録なしで、その場で解けます。読んで分かったつもりでも、4択になると迷うのがこの単元です。
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第1問 固定費が800万円、限界利益率が40%の企業の損益分岐点売上高はいくらか。
800 ÷ 0.4 = 2,000万円です。変動費率(0.6)で割ると約1,333万円になりますが、割るのは限界利益率です。
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第2問 限界利益の計算式として正しいものはどれか。
限界利益は売上から変動費を引いたものです。①は売上総利益(粗利)で、売上原価には固定費的なものも含まれるため一致しません。
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第3問 固定費の比率が高い企業に見られる特徴はどれか。
オペレーティング・レバレッジが効くため、売上の変動が利益に大きく響きます。伸びれば大きいが、落ちると痛い構造です。
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