最終更新:2026/08/28
リスクとは「ばらつき」のこと
日常語の「リスク」は損をする可能性を指しますが、ファイナンスでは違います。
リスク=期待される利回りからの、ばらつき(散らばり)の大きさ。上振れも下振れも、両方ともリスクです。
測る道具は標準偏差です。ばらつきが大きいほどリスクが高く、投資家はその分だけ高い利回りを要求します。これがハイリスク・ハイリターンの中身です。
分散投資で消えるリスク、消えないリスク
| 種類 | 別名 | 原因 | 分散で消せるか |
|---|---|---|---|
| アンシステマティック・リスク | 個別リスク・ユニークリスク | その企業固有の事情(不祥事、経営判断) | 消せる |
| システマティック・リスク | 市場リスク | 景気、金利、為替など市場全体 | 消せない |
銘柄を増やすほど個別要因は打ち消し合います。しかし景気変動はすべての銘柄に共通して降りかかるため、いくら混ぜても残ります。
グラフの読み方
「分散投資を続けてもリスクが一定以下に下がらない」というグラフが出題されます。その下がりきらない部分がシステマティック・リスクです。
CAPMが個別リスクを無視する理由
CAPMは市場との連動性(β)だけを使い、個別リスクを織り込みません。
理由は明快です。個別リスクは投資家が自分で分散すれば無償で消せるため、それを負うことへの上乗せ報酬は市場から支払われません。
「自分で消せるリスクには報酬がつかない」。これがCAPMの前提です。
ポートフォリオの期待利回りの計算
複数の銘柄を持つとき、全体の期待利回りは各銘柄の期待利回りを投資比率で加重平均して求めます。
計算例
A株に60%(期待利回り10%)、B株に40%(期待利回り5%)を投資した場合。
0.6 × 10% + 0.4 × 5% = 6% + 2% = 8%
ひっかけ/単純平均(10と5を足して2で割る=7.5%)にする選択肢が用意されます。投資比率で重みづけするのが正しい計算です。
リスクは加重平均にならない
重要な点です。期待利回りは加重平均になりますが、リスク(標準偏差)は加重平均より小さくなります。値動きが完全には一致しないため、打ち消し合う部分があるからです。これが分散投資の効果そのものです。
効率的フロンティアとマーケット・ポートフォリオ
同じリスクなら最も高い利回り、同じ利回りなら最も低いリスクとなる組み合わせを結んだ線が効率的フロンティアです。
その上にある理論上の組み合わせがマーケット・ポートフォリオで、実務ではTOPIXやS&P500などの株価指数が近似値として使われます。理由は、数多くの銘柄を時価総額比率で含んでおり、市場全体の動きを代表しているためです。
例題で確認する
問 ポートフォリオの期待利回りを求める正しい計算方法はどれか。
- (A) 各銘柄の期待利回りに投資比率を掛けて足し合わせる
- (B) 組み入れた全銘柄の利回りを足して、銘柄数で割る
- (C) 最も高い利回りの銘柄の値をそのまま使う
- (D) 最も低い利回りの銘柄の値をそのまま使う
解答:(A)
加重平均です。(B) の単純平均は、投資額の違いを無視しているため誤りになります。
よくある質問
リスクが高いほど必ず儲かるのですか?
違います。高いリスクを取れば高い利回りを「期待できる」だけで、結果が保証されるわけではありません。ばらつきが大きいということは、大きく外れる可能性も高いということです。
何銘柄くらい持てば分散できますか?
一般に20〜30銘柄程度で個別リスクの大半は消えるとされます。それ以上増やしても、残るのはシステマティック・リスクです。
この単元、いま何問解けますか
登録なしで、その場で解けます。読んで分かったつもりでも、4択になると迷うのがこの単元です。
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第1問 ファイナンスにおける「リスク」の定義として適切なものはどれか。
上振れも下振れも含めた散らばりがリスクです。測る道具は標準偏差になります。
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第2問 A株に70%(期待利回り10%)、B株に30%(期待利回り5%)を投資したポートフォリオの期待利回りはいくらか。
0.7×10% + 0.3×5% = 7% + 1.5% = 8.5%です。単純平均(7.5%)にする選択肢が用意されます。
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第3問 CAPMが個別リスク(アンシステマティック・リスク)を織り込まない理由はどれか。
自分で消せるリスクには報酬がつかない、というのがCAPMの前提です。残るのは分散で消せない市場リスクだけになります。
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