最終更新:2026/08/28
アンゾフのマトリクス:成長の4方向
既存か新規かの2軸で、企業の成長方向を4つに分けます。
| 既存製品 | 新製品 | |
|---|---|---|
| 既存市場 | 市場浸透 | 製品開発 |
| 新市場 | 市場開発 | 多角化 |
最も成功確率が高いとされるのは市場浸透です。既存の資産をそのまま活かせるためリスクが小さくなります。逆に多角化は市場も製品も新しいため、最もリスクが高い方向です。
- 市場浸透:いまの顧客に、いまの商品をもっと買ってもらう
- 市場開発:いまの商品を、新しい市場(地域・層)へ
- 製品開発:いまの顧客に、新しい商品を
- 多角化:新しい市場に、新しい商品を
なぜ多角化するのか
- 成長機会の確保:既存市場が成熟して伸びしろがない
- リスク分散:景気サイクルの異なる事業を持つ
- シナジーの獲得:既存の資源を別分野で活かす
- 余剰資源の活用:使い切れていない資源を回す
リスク分散が成立する条件
単に事業を増やせば分散になるわけではありません。相関関係が低く、異なる景気サイクルを持つ事業を組み合わせて初めて分散になります。同じ景気の波を受ける事業をいくつ並べても、リスクは減りません。
シナジーが生まれる仕組み
シナジー(相乗効果)は、複数の事業で同じ資源を使い回すことから生まれます。範囲の経済と同じ考え方です。
| 共有する資源 | 具体例 |
|---|---|
| 販売網・顧客基盤 | 同じ営業組織で複数商品を売る |
| ブランド | 既存ブランドを新分野に展開する |
| 技術・ノウハウ | 既存技術を別用途に転用する |
| 生産設備 | 同じ工場で複数製品を作る |
多角化の成否は「新しい分野に行けるか」ではなく「既存の何を持っていけるか」で決まります。持っていけるものがないなら、それは単なる新規事業です。
多角化が失敗する2つの原因
① 資源の分散と求心力の低下
手を広げすぎると、どの事業にも十分な資源を配れなくなります。同時に「自社は何の会社か」が曖昧になり、組織の求心力が失われます。ドメインが不明確になる問題です。
② 組織文化の不適合
M&Aによる多角化で特に起きます。戦略的な意図があっても、組織文化や社風が合わなければシナジーは発揮されません。買収後の統合(PMI)が軽視されると、この問題が表面化します。
「成長分野は混雑分野」という言葉があります。魅力的な市場には多くの企業が横並びで参入するため、入った途端に競争が激化するというジレンマです。
例題で確認する
問 アンゾフのマトリクスにおいて、一般に最も成功確率が高いとされる方向はどれか。
- (A) 多角化(新市場・新製品)
- (B) 製品開発(既存市場・新製品)
- (C) 市場開発(新市場・既存製品)
- (D) 市場浸透(既存市場・既存製品)
解答:(D)
既存の顧客に既存の商品を売る市場浸透は、すでに持っている資産をそのまま活かせるためリスクが最も低くなります。多角化は市場も製品も新しいため、最もリスクが高い方向です。
よくある質問
関連多角化と非関連多角化の違いは何ですか?
既存事業と資源やノウハウを共有できるのが関連多角化、まったく別分野へ進むのが非関連多角化です。シナジーが期待できるのは前者で、後者はリスク分散が主な目的になります。
シナジーと範囲の経済は同じですか?
ほぼ同じ方向の概念です。範囲の経済はコスト面での効果を指し、シナジーはより広く相乗効果全般を指します。
この単元、いま何問解けますか
登録なしで、その場で解けます。読んで分かったつもりでも、4択になると迷うのがこの単元です。
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第1問 アンゾフのマトリクスで「既存市場 × 新製品」に当たる方向はどれか。
いまの顧客に新しい商品を出すのが製品開発です。市場開発は逆に、いまの商品を新しい市場へ持ち込みます。
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第2問 多角化によるリスク分散が成立する条件として適切なものはどれか。
同じ景気の波を受ける事業をいくつ並べてもリスクは減りません。値動きが連動しない組み合わせで初めて分散になります。
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第3問 多角化が進んだ企業で起きやすい問題はどれか。
手を広げすぎると、どの事業にも十分な資源を配れなくなり、「自社は何の会社か」も曖昧になります。
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