目次:読みたい項目を選ぶ
全体像・読み進め方を確認する
一言でいうと:誰に、どんな価値を届けるかを整理する
顧客の求めるものが異なるのに一律の施策を続けると、必要な価値を届けられないことがあります。STPは市場を理解し、対象と価値提案を選ぶための枠組みです。一つの小さな市場に絞ることだけを意味しません。
- S:Segmentation(市場を似た者同士のグループに分ける)
- T:Targeting(どのグループを狙うか決める)
- P:Positioning(そのグループの頭の中でどう位置づけるか決める)
基本的な説明順は分ける→選ぶ→位置づけるです。ただし実務では一度決めて終わりではありません。顧客調査や試験販売で仮説を見直し、対象や提供価値へ戻ることもあります。
標的市場の選び方には、単一市場への集中だけでなく、複数市場へ異なる施策を用意する方法もあります。顧客の違いが小さく、分ける費用に見合わない場合には、広い市場へ共通の施策を用いる選択もあります。整理はOpenStaxの標的市場の選択を参照しています。
マップを作るときは、対象顧客を決め、顧客が重視する異なる二軸を選び、同じ調査条件で自社・競合を置きます。空白を見つけただけで需要は確定しません。顧客の選択理由と実現能力を照合し、支払意思・提供能力・採算を別に確かめてから施策へ進みます。
S:セグメンテーション(市場を切る)
市場を、似たニーズを持つグループに分けます。切り口は主に4種類です。
| 切り口 | 内容 | 例 |
|---|---|---|
| 地理的 | 地域、都市規模、気候 | 都市部/地方、寒冷地/温暖地 |
| 人口動態的 | 年齢、性別、所得、職業、家族構成 | 20代、子育て世帯、高所得層 |
| 心理的 | 価値観、ライフスタイル、性格 | 環境意識が高い層、革新志向 |
| 行動的 | 購買頻度、利用場面、ロイヤルティ | ヘビーユーザー、初回購入者 |
施策を作るための細分化なら、ニーズや反応の違いを捉え、打ち手を変えられるかを確認します。年齢だけで機械的に分けても、購買理由の違いを説明できるとは限りません。
T:ターゲティング(狙いを決める)
分けたグループのうち、どこを狙うかを決めます。判断の基準は主に次の点です。
- 市場規模:十分な売上が見込めるか
- 成長性:これから伸びるか
- 競合状況:すでに強者がいないか
- 自社との適合:自社の強みが活きるか
- 到達可能性:その層に届く手段があるか
ニッチ戦略の場合
ニッチを狙う場合も、市場が小さいだけでは有利とはいえません。特有のニーズに応える能力、採算に足りる需要、対象へ届く経路、競合が追随した場合の対応を確認します。大手が参入しないことは保証されません。自社の能力はVRIOと経営資源、競争環境は5つの力と組み合わせて考えます。
P:ポジショニング(頭の中の位置を決める)
狙った層の頭の中で、競合とどう違って見えるかを設計します。
整理の方法の一つがポジショニングマップ(知覚マップ)です。顧客にとって重要な属性を軸に、自社と競合がどう認識されているかを比較します。空いている位置は調査の出発点であり、需要や実現可能性の証明ではありません。
軸の選び方
軸には顧客が実際に気にしている要素を選びます。価格と品質、機能性とデザイン、専門性と手軽さなど。作り手が気にしている要素を軸にしても、顧客の頭の中とはずれます。
顧客の認識を扱いますが、実際の品質や提供能力を無視してよい、という意味ではありません。伝える約束と、利用時に届く価値を一致させます。
知覚マップの役割はOpenStaxの製品ポジショニングで確認できます。次の図と数値は、当サイトが作成した架空例であり、実際の調査結果ではありません。
縦軸:相談の手厚さ/横軸:導入の手軽さ。1=低い、5=高いという架空の顧客認識を配置しています。
Dを狙う前に、需要・支払意思・対応人員・提供原価を確かめる。顧客が望まない、または採算が合わないため空いている可能性もあります。
点は実在サービスや実測データではありません。Dは未提供案であり、顧客の評価を得た点ではありません。図の空白だけで優位性を判断しない練習です。
たとえば小規模事業者向けの予約管理サービスで、導入が手軽で相談も手厚い位置が空いていても、顧客が追加料金を払うとは限りません。支払意思、対応人員、提供原価を確かめ、価格と採算まで検証します。
STPから4Pへ落とす
STPで『誰に、どんな価値で選ばれるか』を整理し、4Pで実行手段を整えます。以下はWeb学習サービスを題材にした設計例です。顧客調査や試行の結果を受けてSTPへ戻り、見直すこともあります。
| 設計 | 決めること | 例 |
|---|---|---|
| Product | 提供価値を形にする製品・サービス | 短時間で解ける4択演習 |
| Price | 価値と顧客に合う価格 | 無料体験から有料プランへ |
| Place | 顧客へ届ける場所・経路 | スマホで受けられるWebサービス |
| Promotion | 価値を伝え行動を促す方法 | SNS投稿、検索記事、メール |
STPは設計、4Pは実行。4P同士だけでなく、選んだポジションとも一貫させます。
GMAP-BFの学習で確認したい判断ポイント
- 3段階の順序(分ける→選ぶ→位置づける)
- 各段階が何をするか(特にPositioningが「顧客の認識」を扱う点)
- セグメンテーションの切り口の分類(年齢は人口動態的、価値観は心理的)
- ポジショニングマップの軸の選び方(顧客が気にする要素を使う)
例題で確認する
問 ポジショニングにおいて、競合製品との違いを顧客の頭の中に描き出すために用いられる、2軸の図を何と呼ぶか。
- (A) パーセプチュアル・マップ(知覚マップ)
- (B) バリューチェーン図
- (C) PPMマトリクス
- (D) SWOTマトリクス
解答:(A)
パーセプチュアル(perceptual)は「知覚の」という意味です。顧客の認識上の位置を表すのがこの図です。(B)(C)(D) はいずれも別の目的の枠組みです。
用語の境界を比較し、ケースで確かめる
マーケティングの用語を比較するでは、似た言葉の違いを短い定義と具体例で整理し、図解・独自ケース・条件変更の確認問題につなげています。
よくある質問
STPと4Pの関係は何ですか?
STPで対象顧客と選ばれる価値を整理し、4Pで製品・価格・流通・販促を具体化します。基本の説明順はSTPから4Pですが、調査や実行結果に応じて見直すこともあります。
セグメンテーションの切り口はいくつありますか?
消費者市場では地理的・人口動態的・心理的・行動的の4分類が基本です。年齢は人口動態的、価値観は心理的、利用頻度は行動的というように、実例を分類して確認します。企業向け市場では業種や企業規模なども用います。
ポジショニングマップの空白は狙い目ですか?
候補にはなりますが、空白だけでは判断できません。対象顧客の需要と支払意思、自社の提供能力と採算を確認します。顧客が求めていないため空いている可能性もあります。
最後に、図で全体像を振り返ります
STPで対象と価値を整理し、4Pで実行手段を組み合わせます。図は基本の説明順で、調査や試行に応じた見直しも行います。
戦略を決めてから、施策へ落とす
STP・4P|図の後に本文へ戻れます

基本の整理はS→T→P→4P。固定された一方向の作業手順ではなく、検証結果に応じて戻って見直します。
この単元、いま何問解けますか
登録なしで、その場で解けます。読んで分かったつもりでも、4択になると迷うのがこの単元です。
-
第1問/全3問 【複合判断】以下の二つは独立した判断である。各説明が適切かを判定し、その組合せを選べ。 【判断Ⅰ】STPの基本的な説明順を「市場を分ける → 対象を選ぶ → 位置づける」と整理した。 【判断Ⅱ】セグメンテーションで、価値観やライフスタイルを「行動的変数」に分類した。
判断Ⅰ:適切。Segmentation→Targeting→Positioningが基本の説明順です。調査や実行の結果に応じて前の段階を見直すことまで否定してはいません。 判断Ⅱ:不適切。価値観やライフスタイルは心理的変数です。年齢や所得は人口動態的、購買頻度や利用場面は行動的に分類します。
-
第2問/全3問 セグメンテーションの切り口のうち、「価値観やライフスタイル」が分類されるものはどれか。
価値観・ライフスタイル・性格は心理的変数です。年齢や所得は人口動態的、購買頻度や利用場面は行動的にあたります。
-
第3問/全3問 予約管理サービスの担当者が、顧客にとっての導入の手軽さと相談の手厚さを軸にした知覚マップを作った。競合は手軽さか手厚さの一方に偏り、両方が高い位置は空白だった。この図から次の検討へ進む際、最も適切な対応はどれか。
D。図は顧客の認識上の位置を整理したもので、空白への需要や採算は示していません。Aは需要を確認せず投資を決め、Bは伝える約束と提供能力を切り離しています。Cも需要がないと断定する根拠が不足しています。候補を仮説として、需要・支払意思・実行可能性を確かめます。
無料の6問で、問題と解説を試しましょう
6科目から1問ずつ。会員登録なしで独自問題と解説を体験できます。科目全体の実力や本番スコアを判定するものではありません。続けて学びたい方は、無料登録後に残り16問へ進めます。
▶ 登録不要・無料の6問を始める※本サイトは独立した非公式の試験対策コンテンツであり、株式会社グロービス/GMAPの公式サービスとは関係ありません。試験の形式や出題範囲は実施回・実施企業により異なる場合があります。
